雑誌『広告』
2023年3月31日に発行された雑誌『広告』文化特集号(Vol.417)の全記事を公開しています。 (2023年8月24日追記)「124 ジャニーズは、いかに大衆文化たりうるのか」は、対談者・矢野氏の意向によりnoteでの全文公開を見送ることとなりました。ご了承ください。
『広告』文化特集号に関わりの深いゲストをお招きして開催するトークイベントについての情報をお知らせします。
『広告』の編集部員が全国の書店に足を運んで販路開拓を行なった記録を、順次公開していきます。
2022年3月1日に発行された雑誌『広告』虚実特集号(Vol.416)の全記事を公開しています。
2021年2月16日に発行された雑誌『広告』流通特集号(Vol.415)の全記事を公開しています。
アートを自己表現として考えている方々は、「制作」というものをインプットしたもののアウトプットとか、アーカイブされたものへの検索行為として理解している。「どこから…
「私たちには文化が必要。それは私たちの尊厳です」。これはアメリカの批評家であるスーザン・ソンタグに対して、1990年代の厳しい戦時下にあったサラエヴォの市民が言った…
1. はじめに近代以降、法は、社会をどう統制していくか、新しく生まれてくる技術のためにどのように制度を整備していくか、という「文明」的な道具として活用されてきた。…
ゼロカーボン実現に向けた石油社会からの脱却、そして微細化したプラスチックによる海洋汚染問題。20世紀以降、私たちの暮らしを便利で華やかに彩ってきたプラスチックとの…
秋の夜長。裏の庭でリリ、リリリと鳴いている虫たちの声は心地よく、裁縫をする手が進む。裁縫と言ってもくたびれたパジャマのウエストを繕う程度のことではあるのだけれど…
どこまでが「継承」か?2018年1月。驚くようなニュースが飛び込んできた。 「八丁味噌でGIブランド論争 老舗2社外れ、不服申し立てへ」。 GIとは地理的表示保護制度の…
「京都は日本の文化を代表している」というイメージは、国内のみならず国際的にも受け入れられている。京都市は「世界が憧れる観光文化都市」を標榜し、「京都が日本の財産…
はじめに文化は誰のものなのか。本稿ではこの問いをミュージアムの領域から考えたい。「ミュージアム」という言葉が意味するところは国や地域、定義の仕方で様々に捉えら…
色彩学者 日髙杏子 × 『広告』編集長 小野直紀 『広告』文化特集号イベントレポート 「赤から想起するもの100カ国調査」をした理由小野:雑誌『広告』の最新号では「文化…
色で感じる文化コロナ禍で海外に行くことも、人が来ることも少なくなったが、「文化」を感じるのは、自分たちとは異なる文化を持つ共同体の地域に行ったり、人が来たりす…
「ことば」の限界を知らないといい文章は書けない。いい文章に限らず、いい映像、いい器など、いいものをつくるには、「ことば」への解像度が欠かせない。時代によって変わ…
0. 序いまから700万年前にその祖先となる種が誕生して以来、人類は一度も途絶えることなく存続してきた。もちろんそれはヒトに限った話ではなく、様々な種がこの700万年を…
「破壊」ではなく「前進」を目指すIT企業あるインタビューでのスティーブ・ジョブズの言葉がビル・ゲイツとの確執を深めた。 「マイクロソフトの唯一の問題は、彼らにセ…
「いいものをつくる、とは何か?」をテーマに掲げてリニューアルした雑誌『広告』。筆者は本誌上で、これまで2回、現代の広告を考察する小論を寄稿してきた。1回目の「価値…
「流行」の歴史は、メディアの歴史であり消費社会の歴史でもある。百貨店からマスメディア、そしてSNSへ。資本主義社会の到来から、物質的な大量生産・大量消費の時代を経…
シンガポールは、日本人からポジティブとネガティブ、両極端のイメージを持たれることが多い国です。ポジティブなだけのパラダイス国家は、空想の世界にしか存在しないのだ…
2023年10月11日 12:00
アートを自己表現として考えている方々は、「制作」というものをインプットしたもののアウトプットとか、アーカイブされたものへの検索行為として理解している。「どこからこんなイメージが出てくるの」とか「作品づくりには教養が必要」などと言うわけである。すなわち、再現/表象としての作品イメージである。しかし実際には、自己表現を超えた作り手たちは自作品に驚きながら、自分都合ではどうにもならない制作体験をしている
2023年10月6日 12:00
「私たちには文化が必要。それは私たちの尊厳です」。これはアメリカの批評家であるスーザン・ソンタグに対して、1990年代の厳しい戦時下にあったサラエヴォの市民が言った言葉だ。戦禍を目の当たりにしたソンタグの「何かできることは」という申し出に、そのサラエヴォ市民が求めたものは演劇の上演だった。セルビア軍に包囲され、食料やエネルギーも満足にない状況にあって、看護などの「エッセンシャル」な協力を想定してい
2023年10月4日 11:56
1. はじめに近代以降、法は、社会をどう統制していくか、新しく生まれてくる技術のためにどのように制度を整備していくか、という「文明」的な道具として活用されてきた。しかし、法制度や個々人の法に対する意識、観念、態度、価値観、規範がある程度堆積し、それがわたしたちの生活様式や行動様式、思考様式のなかに組み込まれていくと、それは文化にもなる(このような法に関する環境、意識、態度、価値観などを「法文化」と
2023年10月2日 11:58
ゼロカーボン実現に向けた石油社会からの脱却、そして微細化したプラスチックによる海洋汚染問題。20世紀以降、私たちの暮らしを便利で華やかに彩ってきたプラスチックとのつき合い方が、急速に変化を求められている。カフェのテーブルでツイッターの画面を見ながら考えたこと。ストローへの「愛と憎しみ」執筆のきっかけは、ストローをめぐる一連のツイートだった。2020年1月。環境への配慮から、スターバックスコーヒ
2023年9月29日 12:00
秋の夜長。裏の庭でリリ、リリリと鳴いている虫たちの声は心地よく、裁縫をする手が進む。裁縫と言ってもくたびれたパジャマのウエストを繕う程度のことではあるのだけれど、そうした細々とした家事は、考え事をしながらやるのにちょうどいい。取るに足りないふつうの暮らしと、SNS今夜の頭のなかはもっぱら「文化的な生活」というこの雑誌からのお題について。その依頼主は、私がこうしたこと……というのはつまり、服を修
2023年9月27日 12:00
どこまでが「継承」か?2018年1月。驚くようなニュースが飛び込んできた。「八丁味噌でGIブランド論争 老舗2社外れ、不服申し立てへ」。GIとは地理的表示保護制度のこと。産地の風土がその品質や特性に結びつく農産物や食品を、地域ブランドとして保護する制度である。「近江牛」や秋田の「いぶりがっこ」「夕張メロン」など、模倣品の排除を目的に、国内で122品目が登録されている(※1)。八丁味噌
2023年9月25日 12:00
「京都は日本の文化を代表している」というイメージは、国内のみならず国際的にも受け入れられている。京都市は「世界が憧れる観光文化都市」を標榜し、「京都が日本の財産、世界の宝であることをアピールする」京都創生PRポスター「日本に、京都があってよかった。」を2007年から発表している。筆者は、京都に暮らして20年以上になるが、このまちをPRするポスターを見るたびにもやもやしてしまう。かつて天皇が住む
2023年9月22日 12:00
はじめに文化は誰のものなのか。本稿ではこの問いをミュージアムの領域から考えたい。「ミュージアム」という言葉が意味するところは国や地域、定義の仕方で様々に捉えられうるが、一般的には博物館・美術館だけでなく、公園や記念碑、動植物園や図書館なども含めて、モノを主軸として文化の保存や研究・教育に携わる公共的な施設を広く指す。後述するように、ミュージアムとは西洋近代の思想に起源を持つものであり、ゆえに現在
2023年9月20日 12:00
色彩学者 日髙杏子 × 『広告』編集長 小野直紀『広告』文化特集号イベントレポート「赤から想起するもの100カ国調査」をした理由小野:雑誌『広告』の最新号では「文化」を特集しています。「文化」の捉え方はいろいろあると思うんですけど、意味や価値を共有するインフラと捉えることもできると思います。それを可視化するために実施したのが『広告』のウェブサイトで公開している「赤から想起するもの100カ国調
2023年9月15日 12:00
色で感じる文化コロナ禍で海外に行くことも、人が来ることも少なくなったが、「文化」を感じるのは、自分たちとは異なる文化を持つ共同体の地域に行ったり、人が来たりするときだろう。1874年(明治7年)に政府の招きで来日したイギリスの化学者、ロバート・ウィリアム・アトキンソンは、『藍の説』において「日本において藍は染料となして、これを使用するのが大変多い。日本に来て全国に至るところで藍色の衣裳をみる
2023年9月13日 12:00
「ことば」の限界を知らないといい文章は書けない。いい文章に限らず、いい映像、いい器など、いいものをつくるには、「ことば」への解像度が欠かせない。時代によって変わる「ことば」への豊かな眼差しを持つことができれば、その時代にあったいいものがつくれるのではないだろうか。時代を超えて文化として残るものがつくれるのではないだろうか。時代と併走する「ことば」をつぶさに観測してきた言語学者の金田一秀穂氏と、『広
2023年9月11日 12:00
0. 序いまから700万年前にその祖先となる種が誕生して以来、人類は一度も途絶えることなく存続してきた。もちろんそれはヒトに限った話ではなく、様々な種がこの700万年をともに歩んできたということでもある。ヒトがほかの生物と比べて特徴的なのは、知識を生み出し共有することによって環境に適応し、世代を超えてその知識を引き継いできたことだろう。ハーバード大学人類進化生物学教授のジョセフ・ヘンリックは
2023年9月8日 12:00
「破壊」ではなく「前進」を目指すIT企業あるインタビューでのスティーブ・ジョブズの言葉がビル・ゲイツとの確執を深めた。「マイクロソフトの唯一の問題は、彼らにセンスがないことだ。彼らにはまったくもってセンスが欠落している。些細なことを言っているのではない、広く全般的な話だ。彼らは独自のアイデアを持たず、自らの製品に文化をもたらしていない」確かに言われてみるとアップルの製品には、ほかのメーカ
2023年9月6日 12:00
「いいものをつくる、とは何か?」をテーマに掲げてリニューアルした雑誌『広告』。筆者は本誌上で、これまで2回、現代の広告を考察する小論を寄稿してきた。1回目の「価値」特集号(Vol.413)では、「新しいとは何だろう?」というテーマのもと、いつの時代も通用する持続可能なブランドづくりについて考察。2回目の「虚実」特集号(Vol.416)では、イメージ化(記号の差異化)を基本戦略として大量生産と消費の
2023年9月4日 12:00
「流行」の歴史は、メディアの歴史であり消費社会の歴史でもある。百貨店からマスメディア、そしてSNSへ。資本主義社会の到来から、物質的な大量生産・大量消費の時代を経て、情報や時間を消費する時代へ。「流行」には、自然発生的に生まれる流行もあれば、企業が仕掛けて生み出す流行もある。本稿では、近代から現代にかけてのメディアや消費社会の変遷とともに「流行」のあり方がどのように変遷してきたのか、識者への取材を
2023年9月1日 12:00
シンガポールは、日本人からポジティブとネガティブ、両極端のイメージを持たれることが多い国です。ポジティブなだけのパラダイス国家は、空想の世界にしか存在しないのだから、ネガティブもついてくるのは当然なのですが、シンガポールの場合は両方に振り切っている印象です。ポジティブなものは「お金持ちなんでしょ」「マリーナベイ・サンズの屋上プールやカジノがすごい」「政府が賢い」「タックスヘイブン」で、ネガティブな