雑誌『広告』

博報堂が発行する雑誌。「いいものをつくる、とは何か?」を思索する“視点のカタログ”として2019年にリニューアル創刊。クリエイティブディレクター/プロダクトデザイナーの小野直紀が編集長を務める。最新号の特集は「文化」。

雑誌『広告』

博報堂が発行する雑誌。「いいものをつくる、とは何か?」を思索する“視点のカタログ”として2019年にリニューアル創刊。クリエイティブディレクター/プロダクトデザイナーの小野直紀が編集長を務める。最新号の特集は「文化」。

マガジン

  • 『広告』文化特集号 全記事公開

    2023年3月31日に発行された雑誌『広告』文化特集号(Vol.417)の全記事を公開しています。 (2023年8月24日追記)「124 ジャニーズは、いかに大衆文化たりうるのか」は、対談者・矢野氏の意向によりnoteでの全文公開を見送ることとなりました。ご了承ください。

  • 『広告』文化特集号トークイベント

    『広告』文化特集号に関わりの深いゲストをお招きして開催するトークイベントについての情報をお知らせします。

  • 編集部員の全国書店開拓ノート

    『広告』の編集部員が全国の書店に足を運んで販路開拓を行なった記録を、順次公開していきます。

  • 『広告』虚実特集号 全記事公開

    2022年3月1日に発行された雑誌『広告』虚実特集号(Vol.416)の全記事を公開しています。

  • 『広告』流通特集号 全記事公開

    2021年2月16日に発行された雑誌『広告』流通特集号(Vol.415)の全記事を公開しています。

記事一覧

142 イメージは考える ~ 文化の自己目的性について

¥100〜

141 「日本の文化度は低いのか?」に答えるために

¥100〜

140 文化的な道具としての法の可能性

¥100〜

139 過渡期にあるプラスチックと生活 ~ なぜ、紙ストローは嫌われるのか?

¥100〜

138 ふつうの暮らしと、確かにそこにある私の違和感

¥100〜

137 生きた地域文化の継承とは ~ 3つの現場から見えたもの

¥100〜

136 京都の文化的権威は、いかに創られたか

¥100〜

135 「共時間(コンテンポラリー)」とコモンズ ~ ミュージアムの脱植民地化運動とユニバーサリズムの暴力

¥100〜

文化の差異と共通性 〜 世界の「赤」は、こんなに同じでこんなに違う

134 風景から感じる色と文化

¥100〜

133 「ことば」が「文化」になるとき ~ 言語学者 金田一秀穂 × 『広辞苑』編集者 平木靖

¥100〜

132 未知なる知を生み出す「反集中」

¥100〜

131 クリエイティブマインドを惹きつけるアップル文化の核心

¥100〜

130 広告業界はなぜカタカナが好きなのか ~ 「いいもの」は未知との遭遇から生まれる

¥100〜

129 流行の歴史とその功罪

¥100〜

128 経済立国シンガポールの文化事情

¥100〜

142 イメージは考える ~ 文化の自己目的性について

アートを自己表現として考えている方々は、「制作」というものをインプットしたもののアウトプットとか、アーカイブされたものへの検索行為として理解している。「どこからこんなイメージが出てくるの」とか「作品づくりには教養が必要」などと言うわけである。すなわち、再現/表象としての作品イメージである。しかし実際には、自己表現を超えた作り手たちは自作品に驚きながら、自分都合ではどうにもならない制作体験をしている。作者はインタラクティブにつくりながらつくられ、モノと協働し、身体図式をメディウ

¥100〜

141 「日本の文化度は低いのか?」に答えるために

「私たちには文化が必要。それは私たちの尊厳です」。これはアメリカの批評家であるスーザン・ソンタグに対して、1990年代の厳しい戦時下にあったサラエヴォの市民が言った言葉だ。戦禍を目の当たりにしたソンタグの「何かできることは」という申し出に、そのサラエヴォ市民が求めたものは演劇の上演だった。セルビア軍に包囲され、食料やエネルギーも満足にない状況にあって、看護などの「エッセンシャル」な協力を想定していたソンタグにとっても思いも寄らない願い出だっただろう。「私たちは動物ではない。私

¥100〜

140 文化的な道具としての法の可能性

1. はじめに近代以降、法は、社会をどう統制していくか、新しく生まれてくる技術のためにどのように制度を整備していくか、という「文明」的な道具として活用されてきた。しかし、法制度や個々人の法に対する意識、観念、態度、価値観、規範がある程度堆積し、それがわたしたちの生活様式や行動様式、思考様式のなかに組み込まれていくと、それは文化にもなる(このような法に関する環境、意識、態度、価値観などを「法文化」と呼ぶことがある)。また、「文明」と「文化」は連続的なものであり、対立的な概念では

¥100〜

139 過渡期にあるプラスチックと生活 ~ なぜ、紙ストローは嫌われるのか?

ゼロカーボン実現に向けた石油社会からの脱却、そして微細化したプラスチックによる海洋汚染問題。20世紀以降、私たちの暮らしを便利で華やかに彩ってきたプラスチックとのつき合い方が、急速に変化を求められている。カフェのテーブルでツイッターの画面を見ながら考えたこと。 ストローへの「愛と憎しみ」執筆のきっかけは、ストローをめぐる一連のツイートだった。2020年1月。環境への配慮から、スターバックスコーヒー ジャパンが自社商品につけるプラスチック製ストローの廃止を発表、全店で紙製スト

¥100〜

138 ふつうの暮らしと、確かにそこにある私の違和感

秋の夜長。裏の庭でリリ、リリリと鳴いている虫たちの声は心地よく、裁縫をする手が進む。裁縫と言ってもくたびれたパジャマのウエストを繕う程度のことではあるのだけれど、そうした細々とした家事は、考え事をしながらやるのにちょうどいい。 取るに足りないふつうの暮らしと、SNS今夜の頭のなかはもっぱら「文化的な生活」というこの雑誌からのお題について。その依頼主は、私がこうしたこと……というのはつまり、服を修繕したり、食器を継いだり、美しい道具を愛でたりしていることをSNSなんかに公開し

¥100〜

137 生きた地域文化の継承とは ~ 3つの現場から見えたもの

どこまでが「継承」か?2018年1月。驚くようなニュースが飛び込んできた。 「八丁味噌でGIブランド論争 老舗2社外れ、不服申し立てへ」。 GIとは地理的表示保護制度のこと。産地の風土がその品質や特性に結びつく農産物や食品を、地域ブランドとして保護する制度である。「近江牛」や秋田の「いぶりがっこ」「夕張メロン」など、模倣品の排除を目的に、国内で122品目が登録されている(※1)。 八丁味噌は、愛知県岡崎市八帖町が発祥の地。老舗2社「まるや八丁味噌」と「カクキュー(合資

¥100〜

136 京都の文化的権威は、いかに創られたか

「京都は日本の文化を代表している」というイメージは、国内のみならず国際的にも受け入れられている。京都市は「世界が憧れる観光文化都市」を標榜し、「京都が日本の財産、世界の宝であることをアピールする」京都創生PRポスター「日本に、京都があってよかった。」を2007年から発表している。 筆者は、京都に暮らして20年以上になるが、このまちをPRするポスターを見るたびにもやもやしてしまう。かつて天皇が住む「みやこ」であったにしても、いまは日本の首都ではなく、いわば一地方都市に過ぎない

¥100〜

135 「共時間(コンテンポラリー)」とコモンズ ~ ミュージアムの脱植民地化運動とユニバーサリズムの暴力

はじめに文化は誰のものなのか。本稿ではこの問いをミュージアムの領域から考えたい。「ミュージアム」という言葉が意味するところは国や地域、定義の仕方で様々に捉えられうるが、一般的には博物館・美術館だけでなく、公園や記念碑、動植物園や図書館なども含めて、モノを主軸として文化の保存や研究・教育に携わる公共的な施設を広く指す。後述するように、ミュージアムとは西洋近代の思想に起源を持つものであり、ゆえに現在でも欧米諸国を主軸としてその「中心」が構成されている。「中心」があれば「周縁」が

¥100〜

文化の差異と共通性 〜 世界の「赤」は、こんなに同じでこんなに違う

色彩学者 日髙杏子 × 『広告』編集長 小野直紀 『広告』文化特集号イベントレポート 「赤から想起するもの100カ国調査」をした理由小野:雑誌『広告』の最新号では「文化」を特集しています。「文化」の捉え方はいろいろあると思うんですけど、意味や価値を共有するインフラと捉えることもできると思います。それを可視化するために実施したのが『広告』のウェブサイトで公開している「赤から想起するもの100カ国調査」で、この調査の監修をお願いしたのが日髙杏子先生です。今日は日髙先生とこの調査

¥1,000

134 風景から感じる色と文化

色で感じる文化コロナ禍で海外に行くことも、人が来ることも少なくなったが、「文化」を感じるのは、自分たちとは異なる文化を持つ共同体の地域に行ったり、人が来たりするときだろう。 1874年(明治7年)に政府の招きで来日したイギリスの化学者、ロバート・ウィリアム・アトキンソンは、『藍の説』において「日本において藍は染料となして、これを使用するのが大変多い。日本に来て全国に至るところで藍色の衣裳をみる」と記載し、「ジャパン・ブルー」と称したという(※1)。また、1890年(明治2

¥100〜

133 「ことば」が「文化」になるとき ~ 言語学者 金田一秀穂 × 『広辞苑』編集者 平木靖

「ことば」の限界を知らないといい文章は書けない。いい文章に限らず、いい映像、いい器など、いいものをつくるには、「ことば」への解像度が欠かせない。時代によって変わる「ことば」への豊かな眼差しを持つことができれば、その時代にあったいいものがつくれるのではないだろうか。時代を超えて文化として残るものがつくれるのではないだろうか。時代と併走する「ことば」をつぶさに観測してきた言語学者の金田一秀穂氏と、『広辞苑』編集者である平木靖成氏に、「ことば」と「文化」、そして時代との関係性を聞い

¥100〜

132 未知なる知を生み出す「反集中」

0. 序いまから700万年前にその祖先となる種が誕生して以来、人類は一度も途絶えることなく存続してきた。もちろんそれはヒトに限った話ではなく、様々な種がこの700万年をともに歩んできたということでもある。ヒトがほかの生物と比べて特徴的なのは、知識を生み出し共有することによって環境に適応し、世代を超えてその知識を引き継いできたことだろう。 ハーバード大学人類進化生物学教授のジョセフ・ヘンリックは、著書『文化がヒトを進化させた──人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉』のなかで、た

¥100〜

131 クリエイティブマインドを惹きつけるアップル文化の核心

「破壊」ではなく「前進」を目指すIT企業あるインタビューでのスティーブ・ジョブズの言葉がビル・ゲイツとの確執を深めた。 「マイクロソフトの唯一の問題は、彼らにセンスがないことだ。彼らにはまったくもってセンスが欠落している。些細なことを言っているのではない、広く全般的な話だ。彼らは独自のアイデアを持たず、自らの製品に文化をもたらしていない」 確かに言われてみるとアップルの製品には、ほかのメーカーとは違う独特の文化があり、それがアーティストやグラフィック/プロダクト/ファッ

¥100〜

130 広告業界はなぜカタカナが好きなのか ~ 「いいもの」は未知との遭遇から生まれる

「いいものをつくる、とは何か?」をテーマに掲げてリニューアルした雑誌『広告』。筆者は本誌上で、これまで2回、現代の広告を考察する小論を寄稿してきた。1回目の「価値」特集号(Vol.413)では、「新しいとは何だろう?」というテーマのもと、いつの時代も通用する持続可能なブランドづくりについて考察。2回目の「虚実」特集号(Vol.416)では、イメージ化(記号の差異化)を基本戦略として大量生産と消費の歯車を回してきた20世紀型広告の発想と手法の限界について論じている。 このふた

¥100〜

129 流行の歴史とその功罪

「流行」の歴史は、メディアの歴史であり消費社会の歴史でもある。百貨店からマスメディア、そしてSNSへ。資本主義社会の到来から、物質的な大量生産・大量消費の時代を経て、情報や時間を消費する時代へ。「流行」には、自然発生的に生まれる流行もあれば、企業が仕掛けて生み出す流行もある。本稿では、近代から現代にかけてのメディアや消費社会の変遷とともに「流行」のあり方がどのように変遷してきたのか、識者への取材をとおして、その特徴と功罪をひも解く。さらに、流行が人々の生活や思考に「文化」とし

¥100〜

128 経済立国シンガポールの文化事情

シンガポールは、日本人からポジティブとネガティブ、両極端のイメージを持たれることが多い国です。ポジティブなだけのパラダイス国家は、空想の世界にしか存在しないのだから、ネガティブもついてくるのは当然なのですが、シンガポールの場合は両方に振り切っている印象です。ポジティブなものは「お金持ちなんでしょ」「マリーナベイ・サンズの屋上プールやカジノがすごい」「政府が賢い」「タックスヘイブン」で、ネガティブなものは「明るい北朝鮮」「文化がないから住むと飽きる」「四季がない」「監視社会」な

¥100〜