雑誌『広告』

博報堂が発行する雑誌。「いいものをつくる、とは何か?」を思索する“視点のカタログ”として2019年にリニューアル創刊。クリエイティブディレクター/プロダクトデザイナーの小野直紀が編集長を務める。最新号の特集は「文化」。

雑誌『広告』

博報堂が発行する雑誌。「いいものをつくる、とは何か?」を思索する“視点のカタログ”として2019年にリニューアル創刊。クリエイティブディレクター/プロダクトデザイナーの小野直紀が編集長を務める。最新号の特集は「文化」。

マガジン

  • 『広告』文化特集号 全記事公開

    2023年3月31日に発行された雑誌『広告』文化特集号(Vol.417)の全記事を公開しています。 (2023年8月24日追記)「124 ジャニーズは、いかに大衆文化たりうるのか」は、対談者・矢野氏の意向によりnoteでの全文公開を見送ることとなりました。ご了承ください。

  • 『広告』文化特集号トークイベント

    『広告』文化特集号に関わりの深いゲストをお招きして開催するトークイベントについての情報をお知らせします。

  • 編集部員の全国書店開拓ノート

    『広告』の編集部員が全国の書店に足を運んで販路開拓を行なった記録を、順次公開していきます。

  • 『広告』虚実特集号 全記事公開

    2022年3月1日に発行された雑誌『広告』虚実特集号(Vol.416)の全記事を公開しています。

  • 『広告』流通特集号 全記事公開

    2021年2月16日に発行された雑誌『広告』流通特集号(Vol.415)の全記事を公開しています。

記事一覧

19 便利の先には「死」が待って いる

18 Improbabilità (ありそうにない) 〜 ジュゼッペ・ コラルッソの役に立たないもの たち

17 役に立たないと、いま決めてはいけない

16 世界最高峰の無用

15 アップデートする建築とプログラマー的建築家

19 便利の先には「死」が待って いる

私たちは便利さを追い求めて、身体に代わって労働をしてくれる道具を生み出し続けてきた。いまでは、家事は電化製品を使用すればいいし、それも面倒なら外のサービスを利用すればいい。そんな暮らしは、とても気楽で快適だ。でも、そのような発展のしかたをこれからも続けていって、本当に大丈夫なのだろうか? 便利さを追い求め切り捨ててきたもののなかに、失ってはいけないものがあったのではないだろうか? 「負荷がない=豊か」という幻想チンパンジーが枝を使ってアリの巣をまさぐるように、きっと人類の祖

18 Improbabilità (ありそうにない) 〜 ジュゼッペ・ コラルッソの役に立たないもの たち

©Giuseppe Colarusso 持ち手がロープになったカトラリー、排水口のない洗面台、かけ面がおろし金になっているアイロン……。 ビジュアル・アーティストのジュゼッペ・コラルッソ(Giuseppe Colarusso)によるこれらの一連の作品には、「Improbabilità(ありそうにない)」というタイトルが付けられている。 彼はこのシリーズのなかで、一貫してプロダクトの「機能」の無効化を試みている。役に立つ道具を、わざわざ役に立たなくしているのだ。 「

17 役に立たないと、いま決めてはいけない

目の前にちょっとした石が転がっていたとしたら、あなたはその石が役に立つと思えるだろうか。 約260万年前、人類は石を道具に変えることによって世界を変えた。その道具とは、HandAxe、つまり石斧だ。肉を切り裂くという革新的な道具の誕生により、食生活は大きく変わり、豊富なカロリー源を得られるようになったことで徐々に脳も大きくなっていった。 石だけではない。落雷などで生まれた火を手に入れ調理や照明に用いるなど、所与のものを異なる用途に転用することでほかの動物とは異なる暮

16 世界最高峰の無用

2013年、ロンドン。ハイド・パークに隣接するケンジントン・ガーデンズに、巨人が石積み遊びをしたような、巨大な岩が巨大な岩の上に載った巨大なオブジェが現れた。 ©Peter Fischli David Weiss Photograph:2013 Morley von Sternberg 映像作品『事の次第』などで知られるスイス出身のふたりのアーティスト、ペーター・フィッシュリ(Peter Fischli 1952〜)とダヴィッド・ヴァイス(David Weiss 1946

#3 無用

誰かに必要とされないものは、価値がないのだろうか? いま何かをつくろうとするとき、世の中の課題を解決したり、生活を便利にしたり、誰かを楽しませたり、多くの人に理解され、必要とされる何か、つまり「用」のものをつくらないといけないプレッシャーを強く感じます。 とくに広告会社に身を置いていると、短期間での売上や認知の向上といった課題解決型の仕事が多く、「いま必要ない」と感じられるものは、つねに後回しになります。 一見必要ないもののなかには、本当は必要だけど、言語化や数値化がで

15 アップデートする建築とプログラマー的建築家

建築にとっての「新しさ」とは何か。とかくスクラップ&ビルドのサイクルが根付いてしまっている日本では、直して使い続けるよりも、商品を買い直すように新築することが“安くてウマい”方法だった。それがいま、変わりつつある。先が読めない社会に対応するべく、未完でもいいから自分にアジャストできるものが求められているのだ。完成品を渡す納品型から、ニーズに対応し続けるアップデート型の建築へ。変わり続ける建築の価値を探ってみよう。 納品して終わりじゃない。アップデートが必須の現代建築2020