_3無用扉

#3  無用

誰かに必要とされないものは、価値がないのだろうか?

いま何かをつくろうとするとき、世の中の課題を解決したり、生活を便利にしたり、誰かを楽しませたり、多くの人に理解され、必要とされる何か、つまり「用」のものをつくらないといけないプレッシャーを強く感じます。

とくに広告会社に身を置いていると、短期間での売上や認知の向上といった課題解決型の仕事が多く、「いま必要ない」と感じられるものは、つねに後回しになります。

一見必要ないもののなかには、本当は必要だけど、言語化や数値化ができずにその価値が認められにくいものや、すぐに目に見える成果に結びつかないものも多くあります。そういうものが、いつのまにかするっと抜け落ちて、無味乾燥な「必要なもの」が世の中にたくさん生まれているように思います。

また、「用」の代表格である、効率化、合理化、最適化の行き着く先は、正しいものが溢れ、誰もが一見しあわせに生きている、でもどこか気持ちの悪い『マトリックス』のような世界になってしまうのではないかと感じずにはいられません。

多様性を謳いながら画一に向かうアンビバレントないまの状況がそれを物語っているのではないでしょうか。

だからこそ、いま「無用」なものが必要だと思うのです。中国の思想家・荘子は、一見無用とされているものが、実は大切な役割を果たしていることを「無用の用」と呼びました。この章では、「無用」に焦点を当てることで、価値の意味をとらえ直していきたいと思います。(小野直紀)

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この記事は2019年7月24日に発売された雑誌『広告』リニューアル創刊号から転載しています。

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