ものづくりの街で、地域と人の魅力を発信する「SANJO PUBLISHING」
編集部員の全国書店開拓ノート48
SANJO PUBLISHING @新潟県三条市
東京駅から上越新幹線で燕三条駅まで約2時間。燕三条地域はものづくりの街で、とくに金属加工で知られているというだけあって、駅構内には大きなナイフとフォークのオブジェが展示されています。この周辺では毎年「工場の祭典」という、製造現場の見学や作業体験ができるイベントがあるのですが、数年前にプライベートで参加し、とあるカトラリー製造会社の社長の熱い言葉に涙した思い出も。
さて、この燕三条駅からさらに弥彦線で北三条駅へ。単線の景色はなんとものどかです。1時間に1本もないので、帰りの時間はきちんとチェック。
北三条駅は無人駅。切符は箱に自分で入れます。きっとのんびりした町なんだろうなと思って駅を出ると、予想をしていなかった光景が。2022年7月にオープンしたばかりの図書館複合施設「まちやま」、学校給食共同調理場跡地を整備してうまれた交流広場「ステージえんがわ」や、食堂「三条スパイス研究所」など、近代的な建物たちが並び、地元の方や観光客と思しき方で賑わっていました。
今回の目的地であるSUNJO PUBLISHINGさんまでは北三条駅から10分ほど歩きます。駅から南に続く中央商店街の一角に、窓に大きな「3」の文字がある三角屋根の建物を発見! すぐにそこだとわかりました。
元々は洋品店だったという店内は、窓から差し込む光が心地よく、天井近くまである大きな本棚にはずらりと本が並びます。古本と新刊のどちらも販売していて、割合は7:3くらい。デザインやものづくりの本を中心に、小説や食など様々な本が並びます。絵本のコーナーもあって、ちょうどお母さんと娘さんが本を選びにきていました。奥には喫茶スペース、将来的には「まちの編集室」もつくる計画があるんだとか。「まちを編集する」がコンセプトで「本屋」「喫茶」「編集」の3つを備えているSANJO PIBLISHNGさん。それぞれに運営担当がいらっしゃり、この日は本屋担当の町田さんと編集担当の水澤さんにお話を伺いました。
お店がオープンしたのは2021年の2月。三条市のプロジェクトのひとつで「本を通した様々なコミュニケーションの実験をしながら、まち全体がゆるやかに繋がることができるのではないか」という考えから、このSANJO PUBLISHINGさんは生まれたそう。メンバーの募集があり、それぞれの部門に我こそは! と集まった3人が現在の運営チームなのだ、と水澤さんがお話してくださいました。
『広告』の詳しいご案内は書店担当の町田さんに。持参していた流通特集号、虚実特集号お見せすると、とても丁寧に、じっくりと記事や装丁を見てくださいました。リニューアル創刊号の巻頭記事「1 価値と人類」にも興味を持ってくださったそう。というのも、町田さんはこの記事で編集長・小野と対談している松村圭一郎さんも学ばれた、エチオピアで青年海外協力隊の一員として滞在されていた経歴の持ち主。現地の言葉、アムハラ語を話すことができるそう。初めて聞く言語、いったいどんなサウンドなのかとても興味が湧きました。
土地柄、ものづくりに関する本を扱うSANJO PUBLISHINGさん。「いいものをつくる、とは何か?」を全体テーマとしている『広告』は、きっとお客さんも喜んでくれるだろうと、流通特集号、虚実特集号をお取り扱いいただけることとなりました。流通特集号の表紙に印刷されているロゴは、お店のウィンドウにあった「3」のマークが向きを変え、本の見開きになっていてとてもかわいいのです。
ご案内のあとは、カフェ担当の米山さんが淹れてくださったおいしいお茶をいただきながら、中央商店街にある素敵なお店の情報や、ご当地・燕三条系背脂ラーメンのことなども教えていただきました。今後、新しいチャレンジを続けていくというSANJO PUBLISHINGさんを次回訪問するときは、教えていただいたご当地グルメにもチャレンジしたいです。
SANJO PUBLISHING 探訪メモ
むさしや菓子店
SANJO PUBLISHINGさんの目の前にある菓子店。季節の和菓子はもちろん、なんとここではフランスで修行をされたパティシエさんがつくる本格洋菓子も購入することができるのです。餅気分だった私はどれをいただこうかと悩みに悩んでいたらお店の方が「その日においしく食べられるぶんだけ買うといいですよ」と声をかけてくださいました。購入したのは「きんぴら団子」。甘辛いきんぴらを、ほんのり甘いお餅でくるんでいます。なんとおいしい! 悔しいことに食べられるぶんの見積もりを間違えたようです。ちなみに写真にある「いが餅」は稲作が盛んな地域で形や味を変えて各地でみられるということを、本屋担当の町田さんに教えていただきました。
▶︎ お店のinstagtamはこちら
文:『広告』編集部・大塚
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