焼き物の街、益子で代々続く「添谷書店」
編集部員の全国書店開拓ノート39
販路開拓のために編集部員が訪れた全国の書店。直接お会いしてわかった店主のみなさまの本に対する思いやご当地の魅力を綴ります。
添谷書店 @栃木県
都内から栃木県芳賀郡益子町までは3時間弱。関東鉄道常総線の下館駅から真岡(もおか)鉄道に乗り換え益子駅へと向かいます。土日であればこの路線はSLが運行してるのですが、この日は平日。昨年大人気だった某アニメを思わせる緑と黒の市松模様の列車に乗車。のどかな風景をガタゴト揺られながら40分。目的地の益子駅に到着です。
お約束の時間まで少し時間があったので、お蕎麦屋さんで腹ごしらえをしたあと、恒例のご当地散歩です。以前、益子を訪れたのは、陶器市の日。コロナ以前は期間中500店を超える出店に、30万人を超えるお客さんが集まるという日本最大級の陶器市でした。この日はあいにくのお天気だったのですが、陶器市のときには混雑で感じることのできなかった自然や、あちらこちらに並ぶ焼き物、高さ約11mのビッグたぬきを見ながら益子気分を味わいました。
添谷書店は益子駅から歩いて十数分。陶芸の町というだけあって、一般書籍だけではなく陶芸やデザイン、アートの本も扱われています。お店に入り、店主の添谷さんにご挨拶。いままでお会いした書店店主のなかでもかなりお若い印象。『広告』のことはお電話ではお伝えしていたものの、詳しくお話するのはこの日が初めて。資料とともにご案内すると「おもしろそうなので、試しにお店に置いてみたい」と嬉しいお返事が! お取り扱いいただくことが決まりました。
この添谷書店は添谷さんのご実家で、数年前にお店を継がれたそう。様々な書店の情報を集めたり、若くして店長として働いている書店員の方々も日々意識されているとお話してくださいました。勉強のためにと読んだのが『これからの本屋読本』(内沼晋太郎、NHK出版、2018年)。この本を手に入れたのはなんと、私も益子陶器市で出会った、ペンギン文庫さん。
お話をしているなかで私が『広告』を電話でご案内していたのが、ちょうど配達などが立て込んでいた時期だったということを知りました。そのときはなかなか詳細をお電話で伝えることができなかったのですが、現地に赴くことでゆっくりといろいろなお話(添谷さん、昔はバンドマンだったという情報もそのひとつ!)ができてよかったと今回も思うのでした。
添谷書店 探訪メモ
『ミチカケ』
益子の人と暮らしを伝えるフリーマガジン。全10号、2013年9月から2018年3月まで益子町が発行していたもので「こんないい読み物ががあったんですよ」と添谷さんが教えてくださいました。益子に移住してきた方や、陶芸家の食卓などが美しい写真とともに掲載されています。実際に手に取ることは難しいかもしれませんが、HPは残っているのでぜひ覗いてみてください。
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文:『広告』編集部・大塚
添谷書店
栃木県益子町に創業したのは明治34年。町の書店という役割だけではなく、益子という土地柄もあり「つくるひと、みるひとにお役立てになれば」と陶芸や骨董、工芸関連の専門書籍も豊富にラインナップ。本などを展示できるギャラリースペースもあります。
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