本を愛する人の聖地「恵文社一乗寺店」
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本を愛する人の聖地「恵文社一乗寺店」

編集部員の全国書店開拓ノート42

販路開拓のために編集部員が訪れた全国の書店。直接お会いしてわかった店主のみなさまの本に対する思いやご当地の魅力を綴ります。

恵文社一乗寺店 @京都府

恵文社一乗寺店は、リニューアル創刊号で初めてトークイベントを行なった、編集部にとって思い出の書店です。この一乗寺というエリアは、京都市の北東部にある左京区にあります。ちなみに地図上では右側にあるのに左京区なのは、平安時代に“君主は北を背に、南に向かって君臨し政務を司る”としていた名残で、左右が反転しているのです。最寄駅は出町柳駅から貴船や鞍馬へと向かう叡山電鉄の途中にある無人駅、一乗寺。降りるとすぐにこの看板を見つけることができます。

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お店は駅から歩いてすぐ。書籍メインのスペース、衣食住にまつわる雑貨や書籍が中心の「生活館」、地元学生やアーティストの展示が行なわれる「ギャラリーアンフェール」、中庭の奥にあるイベントスペース「コテージ」に分かれています。実は地元が一乗寺の私にとって、ここ恵文社一乗寺店は実家から最寄の書店。実家にいた頃はよく通っていて、改装前のアンフェールの床がキリリリッと鳴るのが好きだったことなどを思い出す個人的にも馴染みが深い場所です。

流通特集号では、そんな恵文社一乗寺の鎌田裕樹さんに寄稿していただいています。それには次のような経緯が……。

流通特集号の企画が進んでいくなかで、書籍や雑誌の流通にまつわる記事があるといいねという話になりました。そんなとき、以前、鎌田さんが「僕も何か書いてみたいなあ」とおっしゃっていたのを思い出し、さっそく執筆のご相談を。書店員として働いて10年になり、これからの書店についていろいろと考えることも増えきたという鎌田さん。編集長からも流通特集号に込めた思いをお話しすると、「これまで“若手”の書店員として働いてきたからこそ書けるものがあるかもしれません」と「本の流通」についての記事を執筆いただけることになりました。

その後、出版業界の流通に詳しいH.A.Bの松井さんにもお手伝いいただけることが決まり、毎週ミーティングを重ね試行錯誤しながら企画が進んでいきました。ドイツの出版流通に詳しい文化通信社・星野さんへのインタビュー、編集部員たちで調査・作成した書店リストなども加わり完成! 私にとって流通特集号でいちばん思い入れのある記事になりました。

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無事校了を終えた頃にお店を訪問し、販売方法やほかの記事についてご案内。ポカポカと気持ちのいい日だったので中庭で鎌田さんとお話を。記事一覧を眺めながら「N.W.レフン監督のインタビュー記事といっしょに並ぶだなんて!」と少し興奮していらっしゃる様子。店内に『広告』の展示スペースをつくってくださることになり、たくさんの受注をしていただくことができました。

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一般的な書籍や雑誌は、取次という卸しをとおして一括で書店に配本されていますが、恵文社一乗寺店の場合、書店員一人ひとりが本を1冊づつ丁寧に吟味し仕入れ、時間をかけて棚を編集していきます。このとても時間がかかる工程があるからこそ、思いもよらない本と出会うことができます。そして、ほかの書店とは違ったベストセラーも生まれます。

ここでそんな1冊をご紹介。詩集『聲』(石原 弦、あさやけ出版、2021年)は、『広告』流通特集号を取り扱いいただいている庭文庫さんが出版している詩集。養豚を生業にする作者のゆっくりと静かにときが流れる暮らしを感じることができます。さらに本の手触りがいい! 製本は『広告』流通特集号の製本もしていただいた篠原紙工さん。この本、鎌田さんの強い希望で100冊近く仕入れたそうですが、すでに追加発注をかけているそう。

仕事でもプライベートでも、ずっとお世話になっている恵文社一乗寺店。これからも新しい出会いや気づきをくれるんだろうなと思いながら、お店をあとにしました。

恵文社一乗寺店 探訪メモ

狸谷山不動院
恵文社一乗寺店から徒歩25分。お店から少し距離はあるのですがおすすめの狸スポットです。交通安全祈願が有名で、ここ狸谷山不動院の追突注意のステッカーは京都を走る車や自転車に貼られているのをよく見かけます。敷地内のいたるところに狸の焼き物があり、なんとも言えない愛らしい顔を眺めながら散策を楽しむことができます。狸には「他を抜く」の意味もあるとされ、商売を営んでいる方や芸能関係者、スポーツ選手もよく訪れるそう。
▶︎ HPはこちら

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文:『広告』編集部・大塚

恵文社一乗寺店
1975年、京都市左京区一乗寺に「ほかの本屋にはない本を置こう」という思いからオープン。中心部からは距離がありますが、創業当時は学生が多く集う「京一会館」という映画館もあり賑わっていたそう。本だけなく、ギャラリーや雑貨、カフェも併設されているので、ゆっくりじっくり時間をかけてお店を楽しむことができます。
▶︎ 詳しい情報はこちら

※状況に応じて一時休業または営業時間が変更になる場合があります。詳細はリンク先よりご確認ください

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大吉 「竜の雲を得る如し」
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