_4コスト扉

#4  コスト

コスト、スケジュール、クオリティ。

これは、僕が博報堂に入社して、最初に学んだことです。最終的につくるもののクオリティを上げたいのなら、優先順位は上記の順になるのだと。いまでは、ものをつくる際の基盤として僕の体に染み付いています。

コストというのは、費用・時間・労力のことです。何かものを生み出すためには必ずコストがかかります。それにもかかわらず、つくり手とコストを考える人との間に距離があることが少なくありません。

コストにまつわるあれこれは、まだまだ慣習にまみれています。予算も時間もなぜそう決まったのか。なぜそんなに費用がかかるのか。妥当性を理解できないまま進むこともよくあります。

一方で、生み出されたものの価値とそのコストは、必ずしも相関しません。予算が大きいからといって、いいものができるとは限らないし、時間をかけたからといって、世界を驚かせるものをつくれるとも限らない。むしろ、コストがかかっているものほど、つまらないものが多いような気さえします。

働き方改革が進み、クラウドソーシングなどのコスパ重視のしくみが整い始めているいま、「クオリティ」が置いてけぼりになっている向きもあります。
そうした状況を踏まえながら、この章では、ものの価値とそれを生み出すためのコストの関係をいま一度考え直していきたいと思います。(小野直紀)

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この記事は2019年7月24日に発売された雑誌『広告』リニューアル創刊号から転載しています。

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