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和歌山カルチャーを支える「本屋プラグ」

雑誌『広告』

編集部員の全国書店開拓ノート44

販路開拓のために編集部員が訪れた全国の書店。直接お会いしてわかった店主のみなさまの本に対する思いやご当地の魅力を綴ります。

本屋プラグ @和歌山県和歌山市

本屋プラグは南海本線の和歌山市駅より徒歩10分、JR和歌山駅からはバスを使って10分ほどの場所にあります。同じ駅では……? いいえ、違うんです。「和歌山市・・・・駅」と「和歌山・・・駅」このふたつの駅はけっこう離れていて(徒歩だと40分!!)間違えると大変なことになるのです。

今回は和歌山市駅から徒歩でお店に向かいます。お店の近くにあるお砂糖屋さんでふと立ち止まると、遠くに見えるは和歌山城! なんだかお得な気分。

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お店に到着すると、最初に目に入ったのは入口で販売されている無農薬野菜たち。大根、ゆず、カボチャ、すべて税込100円! なぜ野菜が!? と思いつつ、まずはご挨拶をしなくては。店内に入ると、ちょうどレジで「これにする!」と本を抱えた娘さんとお父さんらしきお客さん、お店の嶋田さんが楽しそうにお話ししていました。邪魔しちゃいかん、と先にお店探検。レジの前にはカフェスペース、子どもの本のコーナー、新刊の棚、奥のテーブルには木彫りの熊2匹(!)と古本が並んでいました。本が縦横ランダムに並んでいてなんとも賑やか。未整理本のコーナーだとは知らずについつい夢中になって本を物色してしまいました。

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お客さんが落ち着いたところでご挨拶。本屋プラグの嶋田さん、三木さんとのやりとりが始まったのは、2019年の価値特集号の発売直後。価値特集号の1円(税込)という価格に対して「書店の価値というものが一切考えられていない」とツイートされていて、それを見た編集長の小野がリプライを送ったのがきっかけでした。「書籍が1円で売られるということは、取り扱っていない書店も無関係ではいられないことだと理解しているのか」「博報堂の広報活動のために、書籍全体の価値を下方に揺さぶらないでほしい」など厳しいご意見をいただくなかで、編集部として無自覚だった部分にも気づかされました。

その後、著作特集号のご案内をしますが取り扱いはお断りされています。著作特集号はオリジナル版2,000円と、それをコピーしたコピー版200円を同時発売し、掛け率0(売上はすべて書店の利益とする)という販売方法をとったのですが、「本の売上がすべてお店に入ることが公表されると、うちのお客さんのなかには気を使って高いほうを購入する方もいるかもしれない。そういう状況はつくりたくないんです」というのがお断りの理由でした。ただ「いらない」と断ることもできるのに、理由を丁寧に伝えてもらえることはとてもありがたい。そして、また次号が発売するときには案内が欲しいと言ってくださったので、今回のご訪問が実現しました。

流通特集号の概要や販売方法などを改めてお話すると「うん、今回は扱ってみたい」とお取り扱いが決まりました。取次はもとから取引がある八木書店を経由することに。置いてもらえるお店が増えるのはやっぱり嬉しい。

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商談のあとは、嶋田さんは昔から本が好きだったこと、学生時代は神戸で過ごされたことなどをお聞きしました。近所の行きつけの居酒屋も! メールや電話でのやりとりでは少し怖い印象もあり(ごめんなさい)、緊張の訪問だったのですが、嶋田さんが冗談を交えてお話しくださるのでつい長時間滞在してしまいました。もちろんその間も家族連れ、若い女性、常連のお兄さんなどお客が絶えない。ああ、ふらっと訪れたくなる「まちの本屋」感。私の住んでいるところにも、こんな場所があればいいのにと思いながらお店をあとにしました。

ちなみに、何か読みたいけど何を読んでいいのやらと悩んだときにおすすめなのが、YouTubeで配信されている「SANBONラジオ」。このチャンネルは、主催者であるtoi booksの磯上さん、本屋プラグの嶋田さん、かまたき文庫の鎌田さんの3人が本にまつわる話を聞かせてくれるもの。紹介される本はどれも気になるものばかりで、知らず知らず読みたいリストが増えていくのです。本以外にも、嶋田さんが強くおすすめされていた映画『バクラウ 地図から消された村』は、自分の好みではないと決めつけていた作品なのですが、いざ観てみると2021年でいちばんグサリと刺さる映画となったのでした。

本屋プラグ 探訪メモ

たこテラスジャンボ
夜はここに行くと決めていました。JR和歌山駅から徒歩10分の「たこテラスジャンボ」。いつどこで仕入れた情報なのか自分でも忘れてしまったけれど、Googleマップにずっとピンしていたお店。ピンクの外観、お持ち帰り用の窓がかわいい。閉店ギリギリに入店したのに、親父さんは「ごゆっくり」と言って、大きなたこ焼きと丸ごとウインナーが入ったオムそばを出してくれた。ああ、ほっこり。粉もん以外のメニューも豊富で次はどて焼きをいただきたい。
▶︎ お店の場所はこちら

本屋プラグ3


文:『広告』編集部・大塚(2020年12月訪問)

本屋プラグ
2017年3月に和歌山県和歌山市にオープン。新刊、古本、絵本やZINE、ときには新鮮野菜の取り扱いも。本とカルチャーについてゲストと語るPodcastも配信中。「和歌山ミニシアター企画」という映画イベントも主催されていて、和歌山県未上映の作品などを観ることができます。
▶︎ 詳しい情報はこちら

※状況に応じて一時休業または営業時間が変更になる場合があります。詳細はリンク先よりご確認ください

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『広告』最新号の特集は「虚実」

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博報堂が発行する雑誌。「いいものをつくる、とは何か?」を思索する“視点のカタログ”として2019年にリニューアル創刊。クリエイティブディレクター/プロダクトデザイナーの小野直紀が編集長を務める。最新号の特集は「虚実」。