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丸く収まらないトンガリサークル白書 関西編|京都大学 サークルクラッシュ同好会  (木原元編集長イチオシ記事 #3)

左から)じゃがいもくん、Fen くん、ユーレイくん、カプリスくん、シロイくん、創設者のホリィ・センくん、桐生あんずさん、やっしーくん

「サークルクラッシュ」って何?

 大学の近くにあるインド料理屋でビールを飲みながら、話を聞くことになった。創設者のホリィくん曰く、「サークルクラッシュ」とは、例えば恋愛に慣れていない男性ばかりの集団に女性が入ってきて、三角&四角関係に発展した後、人間関係が壊れる現象のことを指す。ホリィくん自身も“クラッシュ被害”を経験し、それをキッカケに興味を持ち始め、同好会を設立したのが経緯だという。

「女性に話しかけられただけで、すぐに惚れちゃって、クラッシュを起こすんですよ」と、ホリィくんが言うと、メンバーも激しく頷いているので、どうやら皆、何かしらの“クラッシュ体験”を経た同志が集まっているようである。ラッシィーをズビィズビィーと勢いよく吸引し、ひと息ついてホリィくんはさらに話を続ける。

ズビィ ズビィ

 研究会ではなくあえて「同好会」を標榜しているのは、斜め上から分析しているのではなく、自らが実践する当事者であることを大切にしたいという思いからで、“男女の友情は成立するか”などのテーマで話し合ったり、コミュニケーション能力向上のための即興劇を行ったりしているとのこと。「サークルクラッシュ」の語感だけ聞くと、破壊屋みたいな印象を受けるが、現代における人間関係を実践的かつ学術的に解明しようとする集団のようだ。ホリィくんの話でだいたいの概要はわかった。別の方向に話をふろう。

……。

「さっきから非常に気になるんですが、そこに、キツネがいません?」。まさか自分にだけ見えている幻ではないだろう。話を聞くと、単に顔出しNGとのこと。サークルの取材で顔を隠したいという要望が出る時点で、この同好会の隠された過激な一面が感じられる。今度は、そこらへんを追求してみることにした。
「大学の構内に『サークルクラッシュ同好会はカルトサークルだ』というビラをゲリラ的に貼ったり、『サークルクラッシュにご注意ください』って叫んで回るみたいなパフォーマンスもやってますからね」 
 あえて、過激な集団だと勘違いされかねない行動に出る。「コミュニケーションが上手にできない人間が、端の方で固まるのではなく、周囲をザワつかせるくらいのネタをやった方がいいと思うんです」とホリィくんが説明してくれる。

ネタ メタ ベタ

 同好会には「ネタ・メタ・ベタ」という3つの側面があるという。ネタは、みんなの興味を引くような奇抜なパフォーマンス。ベタは、大学のサークルらしく、定例会をやったり飲み会をやるというもの。
 ここまでは、私にも理解できる。「メタ」というのは、何なんだろうか。何だかそれを聞いてしまうと、ものすごく難しい世界に議論が突入していく予感がしたが、私は社会人としてのプライドをかけて、詳しく聞いてみることにした。

コミュニケーション下手だからこそ、
ザワつかせたい!

「メタ的視点とは、サークルクラッシュ現象を社会スケールに置き換えて、応用できるように体系化していくことですね」。例えばサークルクラッシュ現象が起こるプロセスをメタ的視点で整理すると、こういうことになるらしい。

コミュニケーションが苦手な人は大きな集団から排除されてしまう。

排除された人がひとつの場所に小さい集団として固まってしまう。

コミュニケーション能力が低いし、経験が乏しいから、小さな集団の中でこそサークルクラッシュ現象が起こりやすくなる。

クラッシュ被害に遭うと、行き場を失い、どんどん孤独になっていく。

 確かに、サークルのみならず、学校のクラスや職場にも当てはまる話のような気がする。いやむしろ、これはまさに『広告』編集部にこそ当てはまるのかもしれない。

 プライバシーの関係上、匿名にするが、編集部には独身3人組がいる。3人とも結構いい歳だ。女性に話しかけられるとすぐに「あの人、俺に気があると思う」と、破壊的な勘違いをする。
 3人ともが一斉に勘違いするので、「いや、俺に気がある!」 「いやいや僕ですよ!」 と不毛にも程がある言い争いをしていたりするのだ。「これってクラッシュの予感がしない?」と同好会メンバーに同意を求めると、「いい大人が…」とみんなが〝不憫でならない〞という表情を浮かべる。

クラッシュの予感? …正直、しません。

「確かに、仮にですけれど、万が一、誰かに彼女ができたとしたらクラッシュするかもしれませんね」と、“仮に”と“万が一”を強調しながら、「編集部クラッシュ」を予言。
 一瞬、「ヤバイじゃん!」と思ったが、その“万が一”が起こる可能性を考えてみると、「杞憂にも程があるな」と、安心感が込み上げてきた。
 クラッシュ現象が起こる前に、勝手に足を引っ張り合って、「こじらせ」ているだけなのだ。これはまた、コミュニケーション能力うんぬん以前の問題になるだろう。

『広告』編集部のみなさん、これ読んで勉強して下さい。

 そんなことを考えていると、「会報誌で“こじらせ”について特集してますよ」と冊子を手渡してくれた。あいつら3人にこれを熟読させよう。自覚させることが先決だ。

「ネタ」と「メタ」が絶妙に調和する
サークルクラッシュ同好会の会報誌が面白い!

いままで発行された会報誌の中から、『広告』編集部が気になった記事をピックアップ。記事の見出しだけでは物足りない人は、何とかして実物を手に入れよう!

VOL. 2
○人が恋に落ちる条件―
 「好意期特性」について
○サークラ系メイド裏フィールドワーク
○マンガで学ぶサークルクラッシュ

VOL. 2.5
○キャバクラ嬢指南書に見る
 男性の扱い方
○詩にぞこない

VOL. 3
○日本がもし百人の村だったら
○なぜ人前では性行為をしないのか?
○『女子』をめぐる名付けの力学

VOL. 4
○「付き合う」とはどういうことか
 ―愛と契約の関係について
○セックス同意書
○アスペ的人間は恋愛とどう付き合えばよいのか?
 『セックス同意書』考

VOL.5
○正しい靴の選び方・縁切り神社に行きました
○メンタルヘルスとは表現力である
○元カレを殺すときに知っておきたいこと

VOL.5.5
○『●●でもわかる社会学』の原案
○自傷家座談会
○童貞君と女神様

VOL.6
(巻頭言)神はお前をお救いにならない
特集 こじらせ男子の自分語り
○“メソッド”としてのサークルクラッシュ同好会
○サークルクラッシュ同好会の会長になった彼とならなかった私
 ―初代会長ホリィ・セン(脱)神格化への補助線
○他の男とはセックスしてるクセに俺にはヤらせてくれない女が憎い

文:木原龍太郎 写真:中嶋久美子

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『広告』2018年 2月号 vol.409
特集「奇抜な情熱〜場外ファウルボールをかっとばせ!」
こちらよりご覧ください

※2018年1月19日発行 雑誌『広告』vol.409 特集「奇抜な情熱」より転載。記事内容はすべて発行当時のものです。

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