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情熱探訪Journey Part.2|京都から、およそ55km。原稿催促のためにわざわざ大阪へ! &東京編 (木原元編集長イチオシ記事 #4)

京都の平安神宮前を走る。百均丸は既にボロボロの状態。

Day4
京都→大阪
<自転車>およそ55km

情熱の上乗せ要求。アキラ隊員のもとへ

 無事に京都での取材を終え、後は東京に戻るだけであったはずだった。でも、せっかく京都まで来たのだ。博報堂の関西支社に勤める編集部のアキラ隊員に、原稿の進捗具合を確かめに行こうと思った。マスダ隊員も「せっかくですしね」と俺の提案に同意。じゃあ、行くかということになり、新幹線の時間を調べようとした。すると「チョチョッチョチョ」と怪鳥のような声を出して、俺の動きを止める。え? まさか…。もう取材、終わったじゃん。
 どうやら、そういう問題ではないようである。「もう行くって言っちゃたんだもん、仕方ないっす」。京都〜大阪間、およそ55㎞。情熱の上乗せ請求って奴である。もうここまできたら、全てを受け入れるしかない。淀川沿いをひたすら南下して大阪を目指す。
 基本的に下り坂だったためか、意外にも早く大阪に到着した。電話で「下にいるから、来い」とアキラ隊員を呼び出す。タオルを頭に巻き、変な自転車に跨っている俺を見てアキラ隊員が驚愕の表情を浮かべている。「原稿できたのか、あ?」と問い詰めると、「すいません、すいません、すぐやります!」と怯えきった感じで叫んでいる。これをやるためだけに大阪まで自転車を漕いできたのかと思うと脱力してしまうが、一定の効果はあったようだ。
 とにかく関西編の取材は終わったぁ〜 と、安堵の溜息を漏らしているこの時の俺は、この後、在来線に乗せられおよそ9時間かけて東京に戻ることになろうとは想像だにしていなかったわけである。

淀川沿いのサイクリングロードは走りやすく、あっという間に大阪へ。

博報堂の関西支社に勤務するアキラ隊員を呼び出し、原稿の進捗具合を聞く。

予想だにしていなかったスタイルで登場した俺に、怯えきるアキラ隊員。警察に通報されてもおかしくない光景だ。

東京までの帰路も新幹線はNG。在来線でおよそ9時間かける鉄道旅になるなんて、まったく、どーかしてる!


Day5
東京
赤坂→早稲田
<自転車>およそ6km

肉体的には問題なし! 精神的には異常ありだ!

知り合いとの遭遇に怯えながらの走行

 在来線に揺られて9時間。さすがに40歳の体には堪えるものがあった。しかし、後は東京の取材を残すのみである。目的地は早稲田大学。およそ200㎞のデコチャリ走破を成し得た俺にとって、都内の整備された道路を数㎞だけ移動するなど、ちょっとした散歩のようなものに等しい。完全に余裕をかましながら「百均丸」に跨り、勤務地の赤坂から早稲田を目指す。
 しかし、もうひとつの深刻な問題が発生した。知り合いにバッタリと遭遇する可能性である。この日はド平日。会社関係の人のみならず、もしかすると旧友などと会ってしまう可能性だって否定できない。会ったら、どーすればいいのさ? デコチャリに乗って、平日の昼間っぱらからウロウロしている状況を、イチから説明するだけの論理的思考を俺は持ち合わせていない。いや、そもそもこの行為に、論理など存在していないのだ。
 なるべく、人目を避けて裏道を走るようにするが、「俺の知人って、何故か人目を避けた場所にいるんだよなぁ」と考えては表通りに戻る。そんな迷走を繰り返しながら、前進。走り方も精神もフラフラの状況だ。
 途中、百均丸を縁石に激突させ、右側が大破。衝撃で全体のパーツが歪み、ピカソの絵みたいな状況になってしまった。ギコギコと絵に描いたようなオンボロ自転車の音もする。もう絶対に知り合いに会ってはならぬ! なるべく変な顔をして、俺が俺だと悟られないように自転車を漕ぐ。1㎞が10㎞くらいに感じる。ああ、大隈講堂だ。やっとの思いで早稲田大学に到着することができた。

よそ見をしていたら縁石に激突。百均丸は、満身創痍の状態に。

ギコギコとオンボロ音をあたりにまき散らしながら、早稲田大学を目指す。

早稲田大学の大隈講堂が見えてきた。片手に脱落したパーツを持つ不審者に、警備員さんの目が鋭く光りを放つ。

文:木原龍太郎 写真:中嶋久美子

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※2018年1月19日発行 雑誌『広告』vol.409 特集「奇抜な情熱」より転載。記事内容はすべて発行当時のものです。

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