大阪の広告業界を裏で支える「まや書店」
編集部員の全国書店開拓ノート37
販路開拓のために編集部員が訪れた全国の書店。直接お会いしてわかった店主のみなさまの本に対する思いやご当地の魅力を綴ります。
まや書店 @大阪府大阪市
博報堂の関西支社から一番近くにある書店さん、それが「まや書店」さんです。御堂筋線・京阪電車の淀屋橋駅から土佐堀川を眺めながら歩きます。決して美しい川とは言えないけれど、思い出のあるお気に入りの道です。川沿いの大きなビルの地下にお店はあります。
まや書店さんを訪問したのにはこんな経緯が。リニューアル創刊号発売時、販売エリアや店舗は現在の取り扱い店舗よりも少ない状況でした。発売後に、取り扱い希望のご連絡を多数のお店からいただいたものの、社内の在庫はお店に送りきっていて、ほとんどのお店で完売している状態もありお断りをするしかなかったのです。まや書店さんもお問い合わせをくださったお店のひとつでした。
お電話で店主の藤川さんからは、いままでもずっと『広告』を販売してきたこと。このあたりは広告会社や、デザイン系の会社がたくさんあって、編集長が変わって、雑誌の内容ががらりと変わっても毎号購入してくれるお客さんがいることをお話いただきました。博報堂の関西支社だけでなく、電通の関西支社やデザイン会社などが多く集まるエリアということは私も知っていました。必要としてくれているお店やお客さんに届けたいという思いはあるのですが、リニューアル創刊号は在庫がなく、もうどうにもお送りすることができないことをお伝えしました。次号からでもいいのでぜひ取り扱いたいので発売前に必ず、必ず連絡が欲しいと。どういう状況でも、発売前にご連絡するお約束をし、電話をきりました。
それから数カ月、著作特集号の価格や仕様が決まり各書店さんにご案内する時期になり、訪問を快諾してくださった藤川さんにお会いするため大阪へとやってきました。
お店に到着し、カウンターで作業されている藤川さんにご挨拶。さっそく『広告』のことをお話すると「この雑誌を待っているお客さんがいるから」とお取り扱いが決定。
お電話で、お店に不在にすることが多いとおっしゃっていたので、その訳を聞いてみると……周辺にある広告会社などへ大量の雑誌を配達しているとのこと。会社の書庫にはあらゆる種類の雑誌の最新号やバックナンバーが揃えられていて、資料を探すのによく通ったことを思い出しました(たまに書庫の方から「秘密やで」と付録をもらったりしたことも)。書庫からいろいろな情報を探すことができたのも、まや書店さんのような書店さんがいなくては成り立っていなかったことにあらためて気づかされました。
藤川さんは40年以上続くまや書店の3代目。先代の頃と比べるといろいろと変化はあったそう。「本が売れない時代と言っても、変わらず紙の本を必要としてくれている人はいるんです」と、ある本を紹介してくださいました。『会社四季報』(東洋経済新報社出版)は、日本の上場企業の株価や業績が掲載されている、年4回発行される企業データブックです。ウェブ版もあるけれど、書籍も一定数売れ続けているそう。しかもほぼ同じ内容で少し文字が大きくなったワイド版まで存在します。昔から紙のページをめくって仕事をされてきた方々が、お年を重ねても読みやすいように、発売されたとのこと。読者のことを思ってサイズが変更された本があるなんて知りませんでした。電子書籍が苦手な私は、本の出版数やサイズが変わっても、いつまでも紙の本が存在していてほしいなと思いながらお店を後にしました。
まや書店探訪メモ
PONY PONY HUNGLY
まや書店さんからもほど近い大阪市西区江戸堀にあるケーキ屋さん。かわいらしい店内のレトロなショーケースには、ちょっと素朴なクッキーやスコーン、マフィンが並びます。私の大好きなキャロットケーキも! 家まで待ちきれず新幹線のなかで、くるみやレーズンも入ったザクザク具沢山な食感を楽しみました(箱のなかにはあと3つケーキが入っています)。
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文:『広告』編集部・大塚
まや書店
大阪市北区のオフィス街にある小さな書店。40年以上もこの地で営業されていて、周辺の広告やデザイン関連の会社に本を届けてくれるなくてはならない存在です。淀屋橋からお店までの緑道にはちょっと不思議な銅像がいくつかあるのでぜひ散策してみてください。
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