何気ない日常にスペシャルな本とコーヒーを「Day & Books」
編集部員の全国書店開拓ノート30
販路開拓のために編集部員が訪れた全国の書店。直接お会いしてわかった店主のみなさまの本に対する思いやご当地の魅力を綴ります。
Day & Books @山形県山形市
仙台を拠点に活動されている移動式書店ペンギン文庫の店主・山田さんに、東北地方での販路開拓の相談をしたところ、Day & Booksさんをご紹介いただきました。ここで販売される書籍の選書を山田さんが担当されているとのことで、本の入れ替えで山田さんがDay & Booksを訪れる日に合わせ、いっしょにお店を訪問。
Day & Booksがあるのは、小学校の旧校舎を再利用した「観光文化交流センター山形まなび館」の1階。館内は学校だった面影が残っていて、長い廊下や、足が戸惑う段差が低めの階段が大昔を思い出させてくれます。交流スペースでは、地元のお母さんたちが手芸をされていたり、「紅花文庫」という名前で戦時中の教科書が展示されているスペースがあったりと、市民が集う場所になっているようです。
店内にはゆったりと本が並べられ、落ち着いて選ぶことができます。山田さんの選書のジャンルは幅広く、大型書店では手に入りにくいリトルプレスやZINEもラインナップ。ちなみに下の写真のコーナーでは、フェミニズムをテーマにした本が並べられていました。
山田さんからご紹介いただいた店主の追沼さんは、東北芸術工科大学の大学院生(現在はご卒業されています)。『広告』のお話をすると、大学でデザインや建築を学ばれていることもあって、リニューアル創刊号のデザインや装丁にとても興味を持ってくださいました。「『広告』は雑誌としてだけでなく、アート作品としてもとてもかっこいい! 東北芸術工科大学の学生にもぜひ紹介したい」とうれしいコメントをいただきました。仕入れについては山田さんを通じてお願いできることとなり、著作特集号をお取り扱いいただけることに。
「大学生は欲しい本を見つけてもすぐに買うことは難しいんです。一度本を見にきてから、アルバイトをして後日お金を握りしめてまた買いにきてくれることもあります。でも、200円のコピー版なら欲しいと思ったらすぐに買うことができますね」と追沼さん。新型コロナウィルスの影響でしばらくお店を閉められていましたが、6月に再開されるとすぐに「若い人が手にとってくれていますよ」と連絡をくださいました。
追沼さんは、数年前に閉店してしまった山形市内の老舗書店「郁文堂書店」の復活をクラウドファンディングで成功させたことをきっかけに、山形のこれからを考えるようになったそう。まちづくりに関するプロジェクトにいくつか携わり、2019年に会社設立、コーヒースタンド「Day & Cofee」をオープンするなどいくつもの経験をされています。書店で販売している、県内企業とコラボレーションしたここでしか買えないオリジナルグッズのデザインも追沼さん。素敵な配色に惹かれ、私も文通用にポストカードを2枚購入。
Day & Booksに併設されているカフェでは、全国から選びぬかれたスペシャリティコーヒーをハンドドリップで淹れてもらえます。ちなみにこの日は両国に店舗を構える「Single O(シングルオー)」さんのもの。近年、若い人たちの手によってリノベーションが進んでいるという山形市内を、コーヒー片手に散策するのもいいな。
Day & Books 探訪メモ
鳥中華
ペンギン文庫の山田さんが「山形県に来たら一度食べておくべき!」と紹介してくださったのが名物「鳥中華」。商談後、鳥中華が食べられるという、まなび館の近くの「そば処 さかい」へ入りました。実は山形県の蕎麦の生産量は日本トップクラス。この鳥中華も元は蕎麦屋さんのまかないで和風だしに中華麺を入れたのが始まりだとか。だしの効いたあっさりスープは、いつも食べているこってりラーメンとは違う臓器に吸い込まれていくようで、ほとんど飲み干してしまいました。小鉢も漬物もどちらも大根だったけれど、それぞれにいいお味でした。
文:『広告』編集部・大塚
Day & Books
2019年7月、山形市と東北芸術工科大学が協働して取り組んでいる、使われなくなった小学区の校舎を再整備する「Q1(キューイチ)プロジェクト」の一環でオープン。文化や芸術などを中心とした本と、ここでし買えないグッズが並びます。
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