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港町でゆっくり本を選べる「蛙軒」

編集部員の全国書店開拓ノート14

販路開拓のために編集部員が訪れた全国の書店。直接お会いしてわかった店主のみなさまの本に対する思いやご当地の魅力を綴ります。

蛙軒 @愛媛県松山市

松山駅から伊予鉄道に乗って三津駅で下車。この三津はあのポンジュース発祥の地だということで、駅のすぐ近くにはポンジュースの石碑があります。あえてちょっとだけ遠回りをして、港を見ながら今回訪問する書店・蛙軒(げろけん)さんへと向かいました。

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この書店さんを知ったきっかけは、『広告』リニューアル創刊号の販路開拓中、大学生協でのお取り扱いを相談するために全国生活共同組合連合会を訪問したときのこと。大学生協の書籍部担当の方から「読書のいずみ」という学生向けの冊子をいただき、そのウェブサイトもあるというのでチェックしてみると、学生さんが気になる書店を紹介するページがありました。そこに、“ここで出会う本やイベント達は見たことのない世界の色を教えてくれた。私にとってこの本屋さんは新しい世界への扉を教えてくれる、「きっかけ屋さん」だ”と蛙軒さんについて書かれていて、どんな書店さんなんだろうと気になっていたのです。

それ以来、昨年の秋尾道で開催された瀬戸内エリアの書店が集まるイベント「本とおのみち」や韓国のブックフェアにも本を出されているなあとSNSなどで勝手に蛙軒さんを追いかけていたのですが、”新しい世界への扉を教えてくれる”そんな書店さんにぜひ『広告』を扱っていただきたいと、意を決してご連絡しました。

メールで雑誌『広告』の全体の説明、リニューアル創刊号の詳細など、何度かやりとりをするなかで、”雑誌”という言葉を気にされているのかなと感じました。確かに蛙軒さんは書籍をメインに取り扱う書店さんです。でも、実際にリニューアル創刊号を見ていただくと印象が変わるかもしれない、と1冊お送りしました。

編集長の巻頭メッセージにある塚本晋也監督の映画『野火』に触発された話や、文化人類学者の松村圭一郎さんとの対談企画、キノフィルムズ社長・武部由実子さんへのインタビュー企画など興味深く読んでくださり、東京から松山は遠いのでくれぐれも無理のない範囲で、と念を押されながら一度お会いいただけることとなりました。

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やわからいカーテンがゆれる入り口を開けてお店に入ると、看板猫のギンコさんがお出迎え。奥に人がいる気配があるので何度かお呼びし、出て来られるまで店内を拝見。小さいお店のなかに本がきちんと並べられていて、とても見やすい。猫のギンコさんはその間も店内を飛び回るけれど、本には触れないんです。なんていい子。

しばらくして私に気づいてくださった肝付さんへ改めて『広告』のこと、最新号のことをご紹介し、じっくり検討していただいた結果、お取り扱いが決まりました。蛙軒さん、愛媛県で唯一『広告』著作特集号を扱っていただいている書店さんです。

蛙軒 探訪メモ

『お仕事』
蛙軒さんでおすすめいただいた個人出版の漫画『お仕事』(目元あたる、2019年)。私が購入したのは第3巻です。なぜ3巻なのか?どれにしようか長い間悩んでいた私に肝付さんが「これはどの話から読んでも同じくらいおもしろいんですよ」とアドバイスくださったので、真ん中にあった3巻をチョイス聞いたこともないような架空の仕事をする青年の物語なのですが、全体が白黒で進むなか、ここぞという場面でほんの数カ所だけ使われるカラーインクがポイント。「むふふ」&「ゾッ」の感覚を味わえます。早く違う話が読みたい!
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宇和島の鯛めし
愛媛県宇和島市出身の同僚に愛媛で食べておくべきものは?と尋ねると、宇和島の鯛めしがいちばんおいしいとのこと。松山市内にも何件か宇和島の鯛めしを出してくれるお店があったので、そのなかのひとつ、「かどや」を訪問。鯛めしといったら丸ごと1匹の鯛と米を炊き込んだものだと思っていましたが、生卵入りの特製出汁の中に、生の鯛の身、紫蘇、海藻を入れて混ぜる……そしてそれをホカホカごはんにかけるのです! 鯛の乗った卵かけご飯なのではないかと思われるかもしれませんが、違います。食べ始めたらもう箸は止まりません。あれから何度自宅でこの宇和島の鯛めしを再現したことか……。
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文:『広告』編集部・大塚

蛙軒
港町ならではの潮の匂いがする三津エリア。目印はすぐ目の前にある三津浜小学校。猫の看板がなんとかわいいこと! 入り口のドアは、猫のギンコさんが外に出られないだけの隙間がつくられていました。ゆったりとした時間が流れる店内には、店主の肝付さんが丁寧にセレクトした本が並びます。
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※状況に応じて一時休業または営業時間が変更になる場合があります。詳細はリンク先よりご確認ください。

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