初めてなのにどこか懐かしい「本屋イトマイ」
編集部員の全国書店開拓ノート26
販路開拓のために編集部員が訪れた全国の書店。直接お会いしてわかった店主のみなさまの本に対する思いやご当地の魅力を綴ります。
本屋イトマイ @東京都板橋区
著作特集号の販路開拓を行なっていた頃、既に取り扱いが決まっていた書店さんに「こんな書店さんもいいのではないか」とアドバイスをいただくことがよくありました。そのひとつ、下北沢にある本屋 B&Bの書店員さんにご紹介いただいたのが東京の板橋区にある「本屋イトマイ」さんです。
最初に店主の鈴木さんにごあいさつしたのは、昨年開催されたイベント「TORANOMON BOOK PARADISE」にて。全国から40店舗以上の新古書店が集まった、本好きにはたまらないイベントでした。
そのときはゆっくりお話する時間はなかったのですが、後日お店にお伺いするお約束をして、おすすめいただいた本といっしょに本型クッキーも購入! 編集部のみんなでおやつにいただきました。
本屋イトマイがあるのは「板橋の田園調布」と呼ばれる板橋区ときわ台。池袋から東武東上線で10分ちょっとのところにあります。駅から徒歩1分のビルの2階にあり、喫茶も併設されている書店さんです。
開店前の時間にお邪魔することになっていたので、まだ開いていないドアをノック。お店がある2階から音楽が聞こえているので、いらっしゃるのは確かなのですが、ノックの音が届かないようなので、ドアの外から大きな声で「鈴木さーん、こんにちはー!」と何度も呼んでしまいました。しばらく大きな声を出していると店長の鈴木さんも気づいてくださり、なかへと案内していただきました。
入って左は大きな窓から光が入るカフェスペース、右には本棚が並びます。差し込む光がきれいな「これは特等席だな」という感じの席で『広告』の説明を。オリジナル版とコピー版の2種類を同時発売することや掛け率を0にすることなど、ほかの書籍との違いに少し驚かれた様子もありましたが、熱心に話を聞いてくださいました。「53_文化的遺伝子は自由に繁殖したがる」などいくつかの記事見本を読んでいただき、無事にお取り扱いが決まりました。
お話のあと、開店準備をされる鈴木さんの邪魔をしないように、お店をじっくり見せていただきました。『広告』を紹介する際、編集長・小野の別プロジェクトである「ペチャット」(ぬいぐるみにつけるボタン型スピーカー)をお見せしたところ、とても興味を持ってくださった鈴木さん。小さなお子さんがいらっしゃるそうです。店内に子ども向けの本が充実しているのは、お父さん目線の選書だからかな。
その次に目に止まったのは「覆面本」。タイトルがわからないようになっていて、ブックカバーの穴から見える表紙の文字をヒントに選ぶのです。期間限定と書かれたら欲しくなるもの。私はある編集部員の顔を浮かべながら「ビール」という文字が見えている覆面本を1冊購入。中身は……秘密です! (現在「覆面本」は販売されていませんが、今後再開する予定だそう)
初めて訪れた書店なのになぜか落ち着き、商談で来たことを忘れてしまうくらい本棚に見入ってしまいます。そんな本屋イトマイさんの名前は「お暇(いとま)します」からきているそう。お店のホーページには“プライベートでもオフィシャルでもない「暇(いとま)」を、本と珈琲と静かな空間の中で各々過ごしていただき、それぞれに豊かな時間が訪れたらいいな、という願いのもとに作られました”とあります。まさしくそれを体感できる時間でした。
併設されている喫茶では購入した本をゆっくり読むことができます。カレーやプリンもあるそうですが、私はこの心くすぐるクリームソーダ「ムラサキ」を注文してみたいです。あぁどんな味なのか、夏の読書のお供にしたい!
本屋イトマイ 探訪メモ
ときわ台駅
今回、初めて降り立ったときわ台駅。本屋イトマイさんがある北口方面には、戦前、当時の最新の技術でつくられた住宅の一部が有形文化財として残っているそう。2018年にリニューアルしたという青い瓦屋根がレトロでかわいらしい駅舎は、開業した1935年(昭和10年)当時を再現したものです。ちなみに、ときわ台の駅舎と造りがそっくりな東武宇都宮線の「南宇都宮駅」は兄弟駅舎と呼ばれているようです。
文:『広告』編集部・大塚
本屋イトマイ
2019年3月、東京都板橋区のときわ台駅からすぐの場所にお店をオープン。店主の鈴木さんが1冊ずつていねいに選んだ本が並びます。ちょっと強面、でも実は優しい「ヨンバケ」(読むオバケ)という公式キャラクターも生まれたそうです。口癖が「読まないの?」なのだとか。かわいい〜!
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