雑誌『広告』

博報堂が発行する雑誌。「いいものをつくる、とは何か?」を思索する“視点のカタログ”とし…

雑誌『広告』

博報堂が発行する雑誌。「いいものをつくる、とは何か?」を思索する“視点のカタログ”として2019年にリニューアル創刊。クリエイティブディレクター/プロダクトデザイナーの小野直紀が編集長を務める。最新号の特集は「文化」。

マガジン

  • 『広告』文化特集号 全記事公開

    2023年3月31日に発行された雑誌『広告』文化特集号(Vol.417)の全記事を公開しています。 (2023年8月24日追記)「124 ジャニーズは、いかに大衆文化たりうるのか」は、対談者・矢野氏の意向によりnoteでの全文公開を見送ることとなりました。ご了承ください。

  • 『広告』文化特集号トークイベント

    『広告』文化特集号に関わりの深いゲストをお招きして開催するトークイベントについての情報をお知らせします。

  • 編集部員の全国書店開拓ノート

    『広告』の編集部員が全国の書店に足を運んで販路開拓を行なった記録を、順次公開していきます。

  • 『広告』虚実特集号 全記事公開

    2022年3月1日に発行された雑誌『広告』虚実特集号(Vol.416)の全記事を公開しています。

  • 『広告』流通特集号 全記事公開

    2021年2月16日に発行された雑誌『広告』流通特集号(Vol.415)の全記事を公開しています。

『広告』文化特集号 全記事公開

2023年3月31日に発行された雑誌『広告』文化特集号(Vol.417)の全記事を公開しています。 (2023年8月24日追記)「124 ジャニーズは、いかに大衆文化たりうるのか」は、対談者・矢野氏の意向によりnoteでの全文公開を見送ることとなりました。ご了承ください。

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  • 36本
  • ¥1,000

142 イメージは考える ~ 文化の自己目的性について

アートを自己表現として考えている方々は、「制作」というものをインプットしたもののアウトプットとか、アーカイブされたものへの検索行為として理解している。「どこからこんなイメージが出てくるの」とか「作品づくりには教養が必要」などと言うわけである。すなわち、再現/表象としての作品イメージである。しかし実際には、自己表現を超えた作り手たちは自作品に驚きながら、自分都合ではどうにもならない制作体験をしている。作者はインタラクティブにつくりながらつくられ、モノと協働し、身体図式をメディウ

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82
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100

141 「日本の文化度は低いのか?」に答えるために

「私たちには文化が必要。それは私たちの尊厳です」。これはアメリカの批評家であるスーザン・ソンタグに対して、1990年代の厳しい戦時下にあったサラエヴォの市民が言った言葉だ。戦禍を目の当たりにしたソンタグの「何かできることは」という申し出に、そのサラエヴォ市民が求めたものは演劇の上演だった。セルビア軍に包囲され、食料やエネルギーも満足にない状況にあって、看護などの「エッセンシャル」な協力を想定していたソンタグにとっても思いも寄らない願い出だっただろう。「私たちは動物ではない。私

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42
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140 文化的な道具としての法の可能性

1. はじめに近代以降、法は、社会をどう統制していくか、新しく生まれてくる技術のためにどのように制度を整備していくか、という「文明」的な道具として活用されてきた。しかし、法制度や個々人の法に対する意識、観念、態度、価値観、規範がある程度堆積し、それがわたしたちの生活様式や行動様式、思考様式のなかに組み込まれていくと、それは文化にもなる(このような法に関する環境、意識、態度、価値観などを「法文化」と呼ぶことがある)。また、「文明」と「文化」は連続的なものであり、対立的な概念では

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35
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100

139 過渡期にあるプラスチックと生活 ~ なぜ、紙ストローは嫌われるのか?

ゼロカーボン実現に向けた石油社会からの脱却、そして微細化したプラスチックによる海洋汚染問題。20世紀以降、私たちの暮らしを便利で華やかに彩ってきたプラスチックとのつき合い方が、急速に変化を求められている。カフェのテーブルでツイッターの画面を見ながら考えたこと。 ストローへの「愛と憎しみ」執筆のきっかけは、ストローをめぐる一連のツイートだった。2020年1月。環境への配慮から、スターバックスコーヒー ジャパンが自社商品につけるプラスチック製ストローの廃止を発表、全店で紙製スト

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36
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100

『広告』文化特集号トークイベント

『広告』文化特集号に関わりの深いゲストをお招きして開催するトークイベントについての情報をお知らせします。

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  • 6本

サブカルチャーと冷笑

テキストユニット TVOD 『広告』文化特集号イベントレポート 現代における「冷笑」とは何か小野:最初に、なぜ本日のテーマが「サブカルチャーと冷笑」となったのか。そこからお話しいただいてもいいですか。 コメカ:僕らは「サブカルチャーと社会・政治を並行して考える」ことを自分たちなりに続けてきたつもりなんですが、そのなかで冷笑みたいな問題がどうしてもつねに出てくるところがあるんですね。 パンス:TVODの活動は、2015年くらいに巻き起こっていた市民運動的なものの背景に

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“文化的なAI”とものづくり(後編)

デザインエンジニア 緒方壽人 × 基礎情報学/表象文化論研究者 原島大輔 文化特集号トークイベントレポート > 前編はこちら 記憶の技術の歴史緒方:おもしろいですね。ユク・ホイは、ベルナール・スティグレールという哲学者のもとで学んでいますが、スティグレールは技術哲学とかメディア哲学が専門ですよね。 テクノロジーといったときに『2001年宇宙の旅』の冒頭のシーンではないですけど、テクノロジーとか道具というものの最初のイメージとして骨をつかむみたいなイメージが強くあるので

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50

“文化的なAI”とものづくり(前編)

デザインエンジニア 緒方壽人 × 基礎情報学/表象文化論研究者 原島大輔 文化特集号トークイベントレポート 小野:みなさん、お集まりいただきありがとうございます。今日は松本市にある「栞日」という本屋兼カフェに来ております。雑誌『広告』の文化特集号の発売記念トークイベントということで、おふたりのゲストをお招きしてトークをしていければと思っています。まずはおふたかた、簡単な自己紹介をお願いいたします。 緒方:緒方壽人と申します。普段はTakramというデザインファームで、デ

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59

文化の生成と更新

社会学者 吉見俊哉 × 美学者 松永伸司 × 『広告』編集長 小野直紀 『広告』文化特集号イベントレポート 底地から文化を見通す小野:本日のトークテーマは「文化の生成と更新」です。最近は文化の更新、言い方を変えると、価値観のアップデートについてよく話題になっています。これはなにも最近の事象ではなく、文化や社会の価値観は長い歴史のなかで何度も生まれ、更新されてきたものだと思います。 今日お越しいただいた吉見先生には、そうした人間の長い歴史も踏まえた議論をお聞きしたいです。

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69

編集部員の全国書店開拓ノート

『広告』の編集部員が全国の書店に足を運んで販路開拓を行なった記録を、順次公開していきます。

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  • 49本

ものづくりの街で、地域と人の魅力を発信する「SANJO PUBLISHING」

編集部員の全国書店開拓ノート48 SANJO PUBLISHING @新潟県三条市 東京駅から上越新幹線で燕三条駅まで約2時間。燕三条地域はものづくりの街で、とくに金属加工で知られているというだけあって、駅構内には大きなナイフとフォークのオブジェが展示されています。この周辺では毎年「工場の祭典」という、製造現場の見学や作業体験ができるイベントがあるのですが、数年前にプライベートで参加し、とあるカトラリー製造会社の社長の熱い言葉に涙した思い出も。 さて、この燕三条駅からさら

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37

新潟で本好きたちに愛され続ける「北書店」

編集部員の全国書店開拓ノート47 販路開拓のために編集部員が訪れた全国の書店。直接お会いしてわかった店主のみなさまの本に対する思いやご当地の魅力を綴ります。 北書店 @新潟県新潟市 北書店への道のりは、新潟駅からバスで15分ほど、新潟市役所本館の前で下車します。このあたりは「医学町通(いがくちょうどおり)」というちょっと変わった町名で、市役所前の大通りに面したマンションの1階に、控えめな看板が見えたらそこが北書店です。 看板には「にいがた まち くらし ほん」の文字。い

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43

三茶の喧騒からちょっと離れて。屋上のある隠れ家的本屋「twililight」

編集部員の全国書店開拓ノート46 販路開拓のために編集部員が訪れた全国の書店。直接お会いしてわかった店主のみなさまの本に対する思いやご当地の魅力を綴ります。 twililight @東京都三軒茶屋この日は三軒茶屋にある「twililight」を訪問しました。初めて降り立つ“三茶”の町を、お店の訪問前にちょっと探検。三角地帯と呼ばれる居酒屋街や路地裏を歩いてみると、個性的で小さなお店がみちみちと並んでいてわくわく。少し散歩するだけで、のんべえ向きな町とわかります。さて寄り道

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57

りんごから本へ。神保町愛がつまった憩いの場「BOOK SHOP 無用之用」

編集部員の全国書店開拓ノート45 販路開拓のために編集部員が訪れた全国の書店。直接お会いしてわかった店主のみなさまの本に対する思いやご当地の魅力を綴ります。 BOOK SHOP 無用之用 @東京都神保町 「世界最大の本の街」とも言われる神保町。専門の古書店、新刊書店など100軒以上の書店が軒を連ねます。今回はそんな神保町にある「BOOK SHOP 無用之用」を訪問しました。神保町駅A7番出口を出て、老舗喫茶店の「さぼうる」の前をとおり、すずらん通りへ。ここは文豪たちが通っ

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50

『広告』虚実特集号 全記事公開

2022年3月1日に発行された雑誌『広告』虚実特集号(Vol.416)の全記事を公開しています。

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  • 25本
  • ¥1,600

虚実

うそはほんととよくまざる ほんとはうそとよくまざる うそとほんとは 化合物 これは、谷川俊太郎さんの詩『うそとほんと』の一節です。僕ら人間には嘘と本当を明確に区別しようとする癖があります。不確かなものを不確かなままにしておくことが苦手で、白黒はっきりさせないと不安で不快なのです。それぞれの概念に「嘘」、「本当」と名前がついているように、頭のなかではふたつは分離可能なのかもしれません。しかし実際には、嘘や本当はどちらか単体ではなく、いつも混ざり合った状態で目の前に現れます。

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192

84 虚実と世界 〜 哲学者 清水高志 × 『広告』編集長 小野直紀

情報革命によって生活や社会のあり方が激変したいま、私たちは自分たちが生きる「世界」、そして道具や嗜好品、コンテンツなどのつくられた「もの」をどのように捉えているのだろうか。著書『実在への殺到』(水声社)で新たな哲学の地平を開拓した哲学者・清水高志氏を迎え、「虚実と世界」をテーマに、本誌編集長・小野直紀が素朴な疑問を投げかけながら、人間と世界の関係、人間とものの関係を、現代における哲学的な観点からひも解く。 21世紀に世界の捉え方はどのように変わったのか小野:清水さんの著書を

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86
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85 人はもの自体を認知することはできない 〜 認知科学研究者 渡邊克巳 インタビュー

“もの”は、誰にでも等価に存在しているのではなく、一人ひとりの経験、感じ方、考え方でそのあり方が変わる。そもそも、私たちはものや世界をどう認知しているのだろうか。 人間を含む様々な生物の知覚、記憶、思考のしくみについて心理学や神経科学、計算機科学や哲学など様々な観点からアプローチする総合的な研究分野である認知科学。その専門家である早稲田大学理工学術院教授・渡邊克巳氏へのインタビューをとおして、人がものを認知するときに何が起きているのか、そして、人とものの関係構築のあり方につ

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78
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160

86 認知拡張が拓く人間や世界のあり方 〜 VR研究者 鳴海拓志 インタビュー

人間は古来、道具によって様々な身体拡張や認知拡張を行ない、新たな行動形態や生活様式を獲得してきた。その歴史は人間拡張の歴史とも言える。近年、コンピューターやスマートフォンによって人の認知能力が格段に拡張され、今後、バーチャルリアリティ(以下、VR)などの技術が普及していくなかで、人間や世界のあり方はどのように変化していくのだろうか。本稿では、東京大学大学院情報理工学系研究科で長年VRを端緒とした認知拡張にまつわる研究を行なっている鳴海拓志准教授へのインタビューをとおして、認知

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81
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160

『広告』流通特集号 全記事公開

2021年2月16日に発行された雑誌『広告』流通特集号(Vol.415)の全記事を公開しています。

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  • 30本
  • ¥3,000

流通

昔、自分がプロダクトデザイナーとして携わった商品が、いつのまにか発売されていたことがありました。つくるところだけを依頼され、納品したら「あとはこちらでやっておきます」と、あたりまえのようにそうなったのでしょう。このように、いまの社会では、「つくる」と「届ける」が分断されていることがよくあります。でも僕の場合、自分がつくったものが、いつどうやって受け手に届くのか知りたいし、かかわりたいという思いがあります。 だから、本誌『広告』の制作においては「どう届けるか」にも向き合うよう

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180

54 流通と社会 〜 経営学者 石井淳蔵 × 『広告』編集長 小野直紀

流通の変化が生産のあり方や消費のあり方、そして社会をいかに変えてきたか。日本における流通業発展の歴史をひも解きながら、現代の流通を取り巻く課題やこれからの流通のあるべき姿について、流通科学大学の元学長であり日本の経営学の大家である石井淳蔵氏と本誌編集長・小野直紀が「流通と社会」をテーマに語りあう。 流通簡素化論と流通革命論小野:今回、流通に関する本をずいぶん読んだのですが、僕がいま流通に対して抱いているイメージは、「広くあまねく、より安く、より早く」です。つくられたものが受

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33
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300

55 近代合理主義と流通 〜 マックス・ウェーバーをとおして見る「合理化」の正体

はじめに今日私たちが生きる資本主義の世界は、「合理化」の追求の結果として、便益の享受という点で絶頂に登りつめた世界かもしれない。流通においては、フォード主義以降の大量生産・大量消費に伴って、大量仕入れ・大量販売を行なうマスマーチャンダイジングが発展。多数の店舗を統括し展開するチェーンオペレーションの広がりとともに、百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどが隆盛を極めていく。また、戦争における兵站(へいたん)(※1)に端を発する物流機能を統合的に管理するロジスティク

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27
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300

56 「簡単に手に入る」流通が見落としているもの

「人間的」とはどういうことか流通が高度になることで、人々はものを容易に入手することができるようになった。自宅にいながらにして、世界中のものが届く。しかも安価に。いいことずくめに見えるが、副作用や見落としはないのだろうか。 そういわれてまず思い浮かぶのは、リアルな店舗には商品を手にとるとか、店員とのコミュニケーションといった「人間味のある」体験があるが、eコマースは欲しいものをクリックすれば手に届くだけで「非人間的」だ、という批判ではないだろうか。しかし、非効率的だが人間的な

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26
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300