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18  Improbabilità (ありそうにない) 〜 ジュゼッペ・ コラルッソの役に立たないもの たち

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©Giuseppe Colarusso

持ち手がロープになったカトラリー、排水口のない洗面台、かけ面がおろし金になっているアイロン……。

ビジュアル・アーティストのジュゼッペ・コラルッソ(Giuseppe Colarusso)によるこれらの一連の作品には、「Improbabilità(ありそうにない)」というタイトルが付けられている。

彼はこのシリーズのなかで、一貫してプロダクトの「機能」の無効化を試みている。役に立つ道具を、わざわざ役に立たなくしているのだ。

「現代社会において過剰に生産され廃棄されていく製品や、詐欺的な広告に対する皮肉とユーモアを込めたメッセージなのです」とジュゼッペは話す。

でも、これらの作品の本当の魅力はそうした批評的な側面にあるのではなく、世の中に“ありそうにない”ものをつくっているはずなのに、完全に実現不可能なものということではなく、物理的には“ありそう”という点だと思う。

「Improbabilità」を見ていると、どれも頭のなかで二度見してしまうというか、思考にブレーキが掛かるというか、とにかく違和感を抱いてしまう。当然それがジュゼッペの期待どおりのリアクションだろうけど、この違和感の正体を自分なりにもうちょっと考えてみた。

僕らの身の回りは、生活を便利にするための工夫や道具であふれている。エントロピーが増大していくように、人間はものをより便利にする方向へ本能的に向かっていく性質をもっている。ものづくりの本能、工夫の本能。逆にわざわざ不便なものをつくろうとすると、そこには本能に抗うためのエネルギーが必要になる。まさに“ありそうにない”のだ。

ジュゼッペがライフワークのように発表し続けているこれらの役に立たないものたちのイメージは、不便、不合理、非効率に対する僕ら人間の本能的な不理解をユーモラスに突きつけてくる。

Giuseppe Colarusso (ジュゼッペ・コラルッソ)
主にフォトモンタージュを通じてメッセージを発信するイタリア在住のアーティスト。自身のFacebookに掲載した「Improbabilità」の初めての作品が様々なニュースサイトで話題となったことで、その後シリーズとして制作を続けている。展示なども行なうほか「Mister Solo」という作品群も発表している。
大野 友資 (おおの ゆうすけ)
1983年、ドイツ生まれ。建築家。DOMINO ARCHITECTS代表。東京大学大学院建築学修了。カヒーリョ・ダ・グラサ・アルキテットス(リスボン)、ノイズ(東京/台北)を経て2016年独立。建築からアプリまで、様々なものごとをデザインの対象として活動している。2011年より東京藝術大学非常勤講師を兼任。

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この記事は2019年7月24日に発売された雑誌『広告』リニューアル創刊号から転載しています。

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