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金魚の街へ、本を見つけに「とほん」

編集部員の全国書店開拓ノート34

販路開拓のために編集部員が訪れた全国の書店。直接お会いしてわかった店主のみなさまの本に対する思いやご当地の魅力を綴ります。

とほん @奈良県大和郡山市

わおん書房さんがある福井県からサンダーバードに乗って関西へとやってきました。この日お伺いしたのは奈良県北部の大和郡山市にある、とほんさん。

最寄りである近鉄郡山駅からお店までは歩いて約7分。昔ながらの街並みが残る柳町商店街を歩いていると、マンホールや暖簾などに金魚のモチーフがちらほら。大和郡山市は約300年前から金魚の養殖がさかんで、日本有数の金魚の生産地なのです。

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写真の左側に見えるとほんさんは、もともとは畳屋だったという建物をリノベーションしてつくられたスペースの一角にあります。引き戸を開けると、格子の隙間から光が差し込み、心地のいい空間が広がっていました。奥のカウンターにいらっしゃった店主の砂川さんにご挨拶をし『広告』のご案内を。

実は事前にメールで、リニューアル創刊号の1円という話題性の強い価格や販売方法は、「のほほんとお客様に本を楽しんでいただきたいうちのお店とは離れている」とお伝えくださっていた砂川さん。違った手法で販売するのであれば、と著作特集号のお話を聞いてくださったのですが、今回もお店には少し合わないかなと取り扱いはお見送りとなりました。「また次回ご案内しにきてもいいですか」とお伺いすると「もちろんです。お待ちしていますよ」と嬉しいお言葉をいただきました。「著作」というテーマに大変興味を持ってくださったこともあり、発売後にコピー版をお送りすることをお約束しました。

お店のなかには本だけでなく、砂川さんセレクトの雑貨も豊富にあります。「とほん」というお店の由来は“ ◯◯と本 ”という意味で、本が雑貨や街、人などいろいろなものに繋がっていけたらという思いが込められているそう。この日は店内では第6回目となる「栞展」も開催中。40組もの作家さんが参加されていて、文庫本サイズの透明タイプ、動物モチーフ(猫が多かった!)、活版印刷のものなど、様々な栞たちが棚に並んでいました。いつもポストイットを栞にしていた私は、読書を有意義に、そして楽しくするために「文字の級数がおおよそわかる、写植級数表風の栞」と「味付け海苔風の栞」を購入しました。いま読んでいる本でも活躍してくれています。

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帰り際、砂川さんが「近くにいいコーヒー屋さんがあるので、少し休憩していくといいですよ」とお店から歩いてすぐのお店を教えてくださいました。ほかにも大和郡山市にはおすすめしたい場所がたくさんあるそうです。お店のHPにも近所のお店を紹介する「とほん寄り道スポット」というコーナーがあり、徒歩1分、徒歩10分以内と範囲ごとにリストが掲載されています。

観光で来られる方だけでなく、ご近所のお客様も多いよう。私が滞在している間にお店に来られたお客様も地元の方で、砂川さんと楽しそうに会話をされていました。 とほんさんが地元の人やお店を大切にされていること、お店が地元のみなさんに愛されていることを、滞在していた少しの時間でも感じることができました。

とほん探訪メモ

ころっけのハヤシ
近鉄郡山駅の目の前に、ちょっとした行列ができていたので近づいてみるところっけ屋さんでした。コロッケ70円、ハムカツ80円というなんともノスタルジックな価格。高校生がひとつずつ買って目の前で食べる姿を見ていたら急にお腹が空いてきたので、看板メニューであるコロッケを購入。熱々のコロッケをホフホフといただきました。サクサクの衣はなんだか甘くて懐かしいお味。調べると創業は昭和28年(67年前!)。学生の頃に食べた味を忘れられずに、遠方から食べに来られるお客さんもいるんだそう。

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文:『広告』編集部・大塚


とほん

2014年4月に奈良県大和郡山市にオープン。店主の砂川さんが長く読み続けけたくなる本、読んでよかったと思える本としてセレクトした小説、エッセイ、絵本、雑貨などが6坪のお店にぎゅっと詰まっています。お店のInstagramで投稿される本の投稿は文章だけでなく、表紙とバックの色味のコントラストがとても美しい……!
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