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ご夫婦のセンスが調和する「一月と六月」

編集部員の全国書店開拓ノート17

販路開拓のために編集部員が訪れた全国の書店。直接お会いしてわかった店主のみなさまの本に対する思いやご当地の魅力を綴ります。

一月と六月 @鳥取県境港市

「一月と六月」という一風変わった名前の書店さんを訪ねるため、羽田空港から米子鬼太郎空港へと降り立ち、バスで米子駅へ。そこからJR境線(通称鬼太郎列車)に乗って境港駅へと向かいます。

境港駅前の広場では、「エロイムエッサイム」と書かれた水木しげる先生の『悪魔くん』オブジェを発見! バランガバランガとアニメのオープニングテーマをついつい口ずさんでしまいました。お店に向かう途中、有名な水木しげるロードを抜けていくのでちょっとわくわく。いや、とてもわくわく。

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もともとは4軒のお店が連なっていたという、昭和30年代の建物を改築した店内には本や雑貨が並び、カフェやギャラリーも入っています。ご夫婦で営まれているこのお店の、雑貨やカフェは奥様、本のセレクトは旦那様が担当。ちなみに一月と六月という書店の名前は、ご夫婦それぞれの誕生月からつけられたそう。

ドアを開けてなかへ入ると「寒かったでしょう」と2階のカフェへと案内してくださり、広島県の「えびす茶」というお茶を出していただきました。とても優しいお味。お話を聞いていただいたのは、本のセレクトを担当される阿部義弘さん。『広告』全体のこと、最新号のことをご案内すると「おもしろそうな取り組みなので、ここでできる範囲で取り扱ってみよう思います」とお返事をいただきました。

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その後、この地でお店を始めた理由についてお伺いしました。阿部さんご夫妻は奥様が島根県、旦那様がここ境港のご出身で、東京で働いていたこともあったそうですが、地元に戻られたときに出会われ、ご結婚。旦那さまの家業である建築関係のお仕事をしながらも、いつかはお店をやってみたいと思いがあり、2008年にこの一月と六月をオープンされました。

カフェを併設するにあたり、全国いろいろなカフェを巡り勉強されたそうで、なかでも栃木県の黒磯にある「1988 CAFE SHOZO」の素敵な内装やメニューに影響を受けたのだとか。

書籍と雑貨の売り場がある1階もゆっくり拝見。阿部さんセレクトの小説や暮らしにまつわる本、リトルプレスや地元の方が出版された本などがコンパクトなスペースにぎゅっと詰まっています。隣の部屋には奥様が選ればれた雑貨がずらり。ご夫婦それぞれの“好き”と“得意”がちょうどよくマッチしていて、ひとりで来ても、家族や友達と来ても楽しむことができそうだな。

お店を出るとちょうどお昼どきだったので、ランチのおすすめをお伺いすると、お店から歩いてすぐの「おやじ」というお店を紹介いただきました。お昼休みに訪れている地元のおじさま方に混じり、親子丼をいただきました。

私は学生時代、妖怪やあの世とこの世の境界を研究するゼミに入っていたので、その界隈のものがどうしても気になります。帰り道、水木しげる先生の自伝的エッセイ『のんのんばあとオレ』(講談社、1992年)にも登場する「べとべとさん」の像といっしょに自撮りしてみたりと、ちょっと観光もしてしまった今回の訪問でした。

 探訪メモ

べとべとさん
米子鬼太郎空港の最寄駅・米子空港駅の別名は妖怪「べとべとさん」。水木しげる先生デザインの、まるいボディに短い足と大きな口が、なんともかわいい。夜中に後ろから「べとっべとっ」をいう音が聞こえて後ろを振り向くと誰もいない。そんなときは「先にお越し」と声をかけてあげるとその足音はなくなると言われています。音がするだけで姿を見せてくれることは少ないですが、これといって人に直接危害を加えてこないので、私のお気に入りの妖怪です。

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文:『広告』編集部・大塚

一月と六月
2008年11月にオープンした、本と雑貨を扱うお店。2階にはカフェとギャラリーも。阿部ご夫妻は旅行もお好きで、旅先で見つけた素敵なお店のショップカードも並べられています。自由にとっていいので、私も1枚、気になるお店のカードを持ち帰らせてもらいました。
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