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『広告』著作特集号 全記事公開

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2020年3月26日に発行された雑誌『広告』著作特集号(Vol.414)の全記事を公開しています。
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2020年8月の記事一覧

42 類型のなかに、いかに自分の型を見出すか 〜 落語家 春風亭一之輔 インタビュー

コピーライターという仕事をしていると、いかに自分の日本語が不自由であるかを思い知ることがしょっちゅうある。ちゃんと言い当てているか、新鮮さがあるか、過去の名作コピーたちに似ていないか、など様々なハードルを越えながら、その商品のその時代における存在価値を見つけ出すことに挑戦する。ほとんどの商品には競合が存在するから、独自の視点が必要になってくる。言葉はあくまでツール。使い手が自由に使うものであるし、それによって縛られるものではない。そう言葉にするのは簡単すぎるくらい簡単なのに、

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43 創造性を高める契約書 〜 写真家ゴッティンガムが示す共同著作のビジョン

クリエイターにとって契約書とは、どのような存在だろうか。本来は、発注側(=クライアント)と受注側(=クリエイター)の間で権利の帰属や責任の所在を明確にし、双方の利益を守るための重要なツールであるはずだ。しかしその一方で、法律用語が並ぶ条文や細かな規定の数々を見ると、傍に追いやっておきたくなる厄介な存在でもある。契約書は、クリエイティビティには関係ない、と……。また、業界によっては契約書を取り交わさずに納品まで進めるケースも少なくないという。どうやら契約書とは、クリエイター個人

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「著作」を解き放つオリエンテッドな手法 〜 写真家ゴッティンガム/スタジオシンガムによる創作と著作権管理

雑誌『広告』著作特集号のなかの「創造性を高める契約書」という記事において、自らの活動理念に基づいた共同著作のあり方について語った写真家のゴッティンガム(Gottingham)。『広告』ウェブサイトのための著作特集号のビジュアル撮影もした彼は、コラボレーション/コミッションワークをベースに新しい写真のあり方を追求している。「作品づくり/受注仕事」、「ライフワーク/ライスワーク」という言葉にとらわれないゴッティンガムの裏側には、もうひとつの人格であり、著作権の観点から支える法人ス

44 振動する著作

予算を決め、ターゲットを決め、大きさを決め、手触りを決め、発注先を決め、あれを決め、これを決め、決め、決め……。 ものをつくることは決定の連続だ。 ときに決定を覆したり翻したりすることもあるけれど、原則は一方通行。最初はいろんな可能性をはらんで漠然としているイメージを、決定を重ねて可能性を収束させながら、具体的なアウトプットにまで持っていく。だから決定にはエネルギーを使うし、後悔をしたくないので必死で検証・スタディをする。つくり手が高い密度で決定を繰り返すほど、完成品の純

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45 プロデューサーの著作性 〜 アゲハスプリングス代表 玉井健二インタビュー

「○○プロデュースによる期待の新人アーティスト」とはよく聞くキャッチコピーではないだろうか。しかし、考えてみれば「プロデューサー」とは一体どんな仕事なのだろう。アーティストのイメージをつくる人? それとも曲をつくる人? おそらく明快にその定義をできる人はほとんどいないだろう。いまいち何をしているのか分からない仕事であるがゆえに、「プロデューサー」という言葉にはどうしてもちょっと怪しげなイメージがつきまとってしまう。 しかし、考えてみれば、それと同時に「アーティスト」とはど

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46 組織著作のアイデンティティ 〜 プリキュアはなぜ愛され続けるのか

プリキュアらしさとは?プリキュアのすごさについて語ればきりがない。2004年の放送開始から15年以上続くテレビアニメシリーズであり、女児向けアニメに肉弾戦を取り入れるというチャレンジを成し遂げ、メインターゲット以外の親世代や男性ファンまで虜にするほどの人気を得た。もちろん『サザエさん』をはじめ、『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』など、より長い歴史を持つアニメはほかにも複数あるが、プリキュアはオリジナルタイトルのため、アニメに流用できる豊富な原作ストックを持ち合わせていない

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47 なぜ日本はコンテンツビジネスが下手なのか

日本はコンテンツビジネスが強い国かと聞かれて、どう答えるだろうか? アニメ、マンガ、ゲーム……多くの優れたコンテンツがあり、多様なマーケットが存在する日本は「コンテンツ大国」であるというイメージを持つ人も多いだろう。日本におけるコンテンツ市場は、約12兆円(総務省「平成30年版 情報通信白書」より)もの規模がある。しかし、2013年~2017年の5年間の市場の伸びを見ると日本は年率1.6%の微増にとどまっており、年率5.5%で伸びる世界主要国の市場成長から遅れをとっている。コ

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48 独占か、共有か。特許とITの50年史

テクノロジー企業は、つねに特許と戦いながらビジネスをしている。特許はビジネスを阻む盾であると同時に、攻めるための矛でもある。ただし、特許そのものの価値や扱いは時代とともに大きく変化している。とくにIT技術は特許戦略の変遷とともにあった、と言っても過言ではない。テクノロジーと企業、そして特許のあり方とはなんだったのか、ここで歴史を振り返ってみよう。 いかに「結果を得るか」。企業の利益は「特許」で大きく変わる特許(パテント)の歴史は古い。近代特許制度は15世紀に登場したと言われ

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49 コピーと戦うファッション・ロー

ファッションはかつて、階級や所属を表すものであった。その後、大衆化し文化として花開いた経緯もあり、自由を象徴する存在でもある。日本におけるファッションビジネスは少子高齢化もあり縮小傾向だが、世界では成長を続けており、アパレル産業市場規模は2015年の約143兆円から2022年には約195兆円へと36%も伸びると言われている(※1)。 そんなファッション業界で最近注目が高まっているのが「ファッション・ロー」だ。ファッションにまつわるアレコレの問題を法律的な立場で解決しようとい

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50 現代美術とフェア・ユース 〜 アプロプリエーションと向き合う著作権法

2013年4月、ニューヨークに衝撃が走った。アプロプリエーションの代表的なアーティストとして知られるリチャード・プリンスの作品『Canal Zone』シリーズが、素材として使用した写真の著作権侵害であるかが争われたケースで、ニューヨーク州を管轄する第2巡回区連邦控訴裁判所は第一審の判決を覆し、プリンスの写真使用がフェア・ユースに当たると判断したのだ(※1)。 著作権侵害であるかが争われた『Canal Zone』シリーズの1作品 リチャード・プリンス『Back to the

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