21 誤配という戦略 〜 必要とされないものを、いかにつくり続けるか
人々が必要だと思うものや、社会が必要とするものをつくり、届けることはある意味易しい。ニーズに沿ったものをつくれば、手にとってもらえるからだ。一方、人々が必要性に気づいていないもの、受け手にとって無用に思えるものをつくり、届けるのは簡単なことではない。
そして、それをやり続けることはなおさら難しい。そのことに成功しているのが、思想家の東浩紀さんが経営する出版社「ゲンロン」だ。ゲンロンの戦略は、思想や哲学といった「等価交換の外部」にあるものを「等価交換の回路に忍び込ませる」こと